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2010年08月22日

[トンネル視(tunnel vision)の心理効果]

トンネル視(tunnel vision)の心理効果

『トンネル視(tunnel vision)』は認知心理学の選択的注意にも似た人間の心理特性であるが、強い恐怖感や脅威を認識することによって『トンネルから見える風景』のように視野・注意が制限されてしまうという心理効果である。トンネル視という用語そのものは『正確な心理学用語』とは言えないが、多くの人が何処かで経験する可能性のある心理現象ではある。恐怖や脅威、不安を感じる対象(出来事)ばかりに意識が向けられることによって、それ以外の事象や出来事が無意識的に認識不能になり、視野・注意が相当に狭い範囲に限定されてしまうことになる。

トンネル視が起こりやすい典型的な状況としては、過酷な虐待を受けている家庭環境や突然巻き込まれることになった犯罪状況、教師から体罰や差別を受けている学校環境などを想定することができる。両親から身体的な暴力や精神的な虐待を受けている子どもは、『虐待を受けていない時間の記憶力・集中力』が極端に低下してしまったり、部分的に記憶がすっぽりと欠落してしまう心因性健忘が起こったりするが、『恐怖・脅威に関係する事象の記憶』だけが残っている場合にはトンネル視が起こっている。

反対に、『恐怖・脅威に関係する事象の記憶・感情』だけを忘れてしまうケースも多くあり、この場合には『トンネル視』ではなくて、『解離性障害(解離性健忘・解離性同一性障害)』などの発症を疑う必要性がでてくる。苦痛で嫌な出来事ばかりに意識が向かっている『トンネル視』のほうが、苦痛で過酷な体験や記憶を無意識的に抑圧して忘れようとする『解離性障害』よりも精神状態としての病理性は低く、一般的な人でも『嫌なこと』ばかりに気を取られてそれ以外のことが頭に残らないといったことは起こり得る。

体罰を振るったり威圧的な態度を取る教師が担当する科目では、生徒の成績が上がりにくかったり授業の理解度が進みにくかったりするが、こういった現象には教師と生徒の人間関係における不信感・恐怖感が関係していることも少なくなく、ある種の『トンネル視』によって授業時間の集中力・記憶力が低下している可能性もある。その先生が怒るか怒らないかばかりに意識が傾いていれば、『授業の内容・知識の理解』に対する注意力が散漫になって授業に集中しにくいという問題もでてくる。

軽度のトンネル視であれば、本人が自覚していなくても日常的な経験として発生していることがある。つまり、『不安な出来事・恐怖を感じる相手』によって集中する範囲が狭くなったり記憶力が低下したりするということであるが、トンネル視は精神疾患や精神症状ではないので『対人関係の改善・生活環境の調整・コミュニケーションによる相互理解』によって予防するしかない問題でもある。



posted by ESDV Words Labo at 15:25 | TrackBack(0) | と:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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