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2010年09月07日

[論理療法の内面的脱感作(covert desensitization)と内話(self-talk)の文章記述]

論理療法の内面的脱感作(covert desensitization)と内話(self-talk)の文章記述

アメリカの心理学者アルバート・エリス(Albert Ellis,1913年9月27日-2007年7月24日)が1950年代に創始した論理療法あるいは論理情動行動療法は、認知療法の先駆けとなった『認知(思考)の合理的・肯定的な修正』を治療機序とする心理療法である。

A.エリスはネガティブな感情・行動は、『客観的な出来事(現実)』によって引き起こされるのではなく、『ネガティブな思考(解釈)の傾向』によって引き起こされると考え、この自分で自分の可能性や未来を否定するネガティブ思考のことを『イラショナル・ビリーフ(irrational belief)』と定義した。

イラショナル・ビリーフとは『非論理的な思考・非合理的な思考』のことであり、自分自身の存在価値や能力・意欲を過度に否定する思考、自分の将来(成功)の可能性を実際以上に悪く考える思考をイラショナル・ビリーフに位置づけている。抑うつ感や不安感、緊張感、焦燥感といった不快な気分(感情)が強まる時、あるいは自分に対する自信がなくなって将来に対する絶望感ばかりが高まる時には、自己否定的な解釈を生み出す『イラショナル・ビリーフ(非合理的な思考)』が影響しているのである。

論理情動行動療法の治療機序は、自己否定的で将来悲観的な『イラショナル・ビリーフ(irrational belief, 非合理的な信念)』を、自己肯定的で将来楽観的な『ラショナル・ビリーフ(rational belief, 合理的な信念)』に置き換えていくということであり、このメカニズムは『ABCDE理論』によって支えられている。イラショナル・ビリーフをラショナル・ビリーフに転換させて気分・感情・行動を改善するための技法が『内面的脱感作法(covert desensitization)』である。

内面的脱感作法とは『自分が不安・恐怖・緊張を感じる行動や対象』に対して、イメージ療法的な生々しいイメージを思い浮かべることで、段階的にその不安感・緊張感に慣れさせていこうとする技法である。A.エリスは論理的な自己反駁や合理的な認知の修正だけではなくて、直接的に感覚や感情に訴えかける作用が強い『自己肯定的なイメージ・成功状況のイメージ』も積極的に心理臨床に用いていた。

昇進試験に落ちてしまうことに強烈な不安を感じているクライアントには、『自分の努力はテストの結果に反映されることになる』というラショナル・ビリーフへの転換を進めるのだが、それと同時に『試験に合格して喜んでいる状況』をリアリスティックにイメージさせることで更に感情・気分の状態が改善しやすくなるのである。論理療法や認知療法の心理面接を効果的に進めるためには、クライアントに自分自身が持ちやすい『認知傾向(物事の考え方・状況の解釈の仕方)』について自覚してもらう必要があるが、自分で自分の内的世界を観察することを『セルフモニタリング(自己観察)』という。

自己肯定的で合理的な思考である『ラショナル・ビリーフ』、自己否定的で非合理的な思考である『イラショナル・ビリーフ』を区別する参考になるのが『内話・内言(self-talk)』である。『内話(セルフトーク)』というのは無意識的に心の中で行っている会話・一人語りのことであり、その内面的な会話や言葉を文章にしていくことで自分自身の認知傾向(物事の受け止め方)を把握しやすくなる。

心の中で話している内話の内容を『文章記述』に置き換えていくことで、『絶対に良い成果を出さなければならない・この目的を達成できなければ自分は無価値になってしまう・どうせ自分は努力してもダメだ・自分の将来には楽しいことなど存在しない』といったイラショナル・ビリーフを明確化することができるようになり、ピンポイントでそれぞれのネガティブな思考に対して『現実的かつポジティブな反駁』を加えやすくなる。



posted by ESDV Words Labo at 07:26 | TrackBack(0) | ろ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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