ウェブとブログの検索

カスタム検索





2010年09月07日

[心理テストの内容的妥当性(content validity)・クライアントの現実と専門的見解のズレ]

心理テストの内容的妥当性(content validity)・クライアントの現実と専門的見解のズレ

クライアントの心理状態や精神病理、生活状況を正確に理解して、適切なカウンセリング技法(介入方法)を選択するために『心理アセスメント』が実施される。心理アセスメントの代表的な手段が『心理テスト(心理測定尺度)』であるが、精神医療・心理臨床において心理アセスメントを実施する目的は以下の6点にまとめることができる。

1.クライアントの現在の『性格傾向・心理状態・精神病理・知的水準』の理解。

2.クライアントの過去の『家族歴・家族関係・生活歴・トラウマ体験』の把握。

3.クライアントの現在と過去の情報を総合した上での、適切なカウンセリング技法や援助方法の選択。

4.臨床心理学的・精神医学的な『援助プラン』の計画立案。

5.カウンセリングや精神医療の効果測定と援助プランの再検討。

6.心理テストそのものが持つ『認知の転換・気づきの促進』といった心理効果。

心理テストの評価尺度が科学的・統計的な有効性を持つか否かは、『妥当性(validity)・信頼性(reliability)・効率性(efficiency)』の基準によって判定され、妥当性と信頼性が確認された心理テストは『標準化(standardization)』されることで一般利用可能な心理テストとしての完成度が高まる。

『妥当性(validity)』とは心理テストを用いて測定(調査)しようとしている内容をきちんと測定できているかどうかの基準であり、『信頼性(reliability)』とは同じテストを同じ被検者に対して実施した時に安定した結果がでるかどうかの基準であるが、妥当性が高ければ必然的に信頼性も高くなるという相関関係が見られる。妥当性の大きさは0〜1の実数値を取る『妥当性係数』で表現されるが、妥当性は心理テスト(評価尺度)が正しく測定しようとしている対象を評価できているかという『真理性』を意味する最も重要な指標になっている。

妥当性は『妥当化』という検証作業によって、『内容的妥当性・基準関連妥当性・構成概念妥当性』の3つに分類することができるが、ここでは内容的妥当性について解説する。この妥当性の分類は、1950年代頃のアメリカでアメリカ心理学会によって提唱されたものであり、エビデンスベースドな臨床心理学の心理テスト・研究方法の基盤にある統計的指標である。

内容的妥当性(content validity)とは、心理テストの質問項目や問題設定が『測定しようとしている能力・心理状態』をどの程度適切に表現できているのかを示す指標であり、内容的妥当性が高いということはそれだけピンポイントで測定しようとしている対象に沿った質問項目が揃っているということである。統計学の問題に正しく解答する能力を測定する為には、記述統計学や推測統計学の理解度を試せる問題を提出するように、心理テストでも測定したいと思うものを適切に測定できるような種類の質問(問題)を考えて設定しなければならないということである。

内容的妥当性を評価する為には、まず、複数の専門家や有識者に心理テストの質問項目を丁寧に読み込んでもらい、『測定しようとしている対象(能力・状態・問題・病理)との関連性』を数値で相対評価して貰う。その専門家の相対評価についての一致率や相関係数を算出することで、内容的妥当性を数量的に評価することができるとされているが、『被検者の心理状態・主観』と『専門家の基本認識・客観』の間にズレが生まれる可能性というのは絶えずある。

そのため、内容的妥当性に関する良くある批判として、『専門家間の判断の同意(見解の一致)』が必ずしも、現実の出来事やクライエントの状態を正しく反映しているわけではないということが提起されることがある。内容的妥当性の高さと実証的データが相関しないケースでは、『測定しようとしている現実の被検者の状態・能力』と『専門的・客観的な基本認識』とのズレを補正する必要がでてくることもある。

posted by ESDV Words Labo at 07:28 | TrackBack(0) | な:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック