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2010年09月07日

[マイクロカウンセリングの内的統制型のパーソナリティ(intrinsic personality)]

マイクロカウンセリングの内的統制型のパーソナリティ(intrinsic personality)

アレン・E・アイビィ(A.E.Ivey)が開発した体系的なマイクロカウンセリングでは、クライアントの主訴(悩み)に対応した実践的な支援が重視されるが、その目的は『実際の問題解決・心理状態の改善』『精神発達水準の向上』である。クライアントが現在の時点で直面している問題・悩みを支援して解決しても、精神発達水準がある程度高まらないと根本的な問題解決に至らないことも多い。

アイビィのマイクロカウンセリングでは、外的統制型のパーソナリティを発達水準の低い人格構造だと定義しているが、それは『外部的な要因』によって感情・気分・自己認知が左右される外的統制型は、人格(精神状態)の安定性が低いからである。自分自身の能力・意欲・感情の原因を『自分の外部にある要因』に求める傾向が強いので、自分の判断や行動に対してセルフ・エフィカシー(自己効力感)を抱くことが難しく、責任のある行動がしにくいのである。

『外的統制型のパーソナリティ(extrinsic personality)』は状況判断の基準や感情・気分の原因を『外部的な要因』に求めることで、自己否定的な認知や将来の悲観に陥りやすくなり、自分で自分の感情ややる気をコントロールできるというセルフ・エフィカシーを高めることが難しいのである。外的統制型の問題点は、自分の意志で自分の感情・意欲をコントロールできるという実感が持ちにくく、外部の報酬や応援がないと『積極的で効果的な行動』を自発的に起こすことができないということである。

『内的統制型のパーソナリティ(intrinsic personality)』は外的統制型よりも発達水準の高い人格構造(性格傾向)であり、自分の感情・意欲・行動を自分自身の内発的動機付けで適切にコントロールできるという自己効力感を持ったパーソナリティである。自分の問題状況や感情の悪化の原因を『自分自身の認知(考え方)』だと認識できているので、自分自身の行動・判断に責任感を持ちやすくなり、問題や悩みを自分の力で前向きに解決しやすくなる。

自分で自分の精神状態をコントロールする自己統制の能力が高くて、現実的な判断と積極的な行動ができるのが内的統制型の特徴であるが、『過剰適応・ストレス過多』になりやすくて心身症の発症リスクが高いという短所も指摘されることがある。内的統制型のクライアントは、主体的な意志決定や問題解決のための自助努力ができる人が多いので、カウンセラーは特別な指示・指導をしなくても良いことが多い。マイクロカウンセリングでは『かかわり技法』によって、内的統制型のクライアントの現在の生活状況や心理状態を柔らかくフォローしていくことが推奨されている。

外的統制型のパーソナリティは『受動的・依存的・気力低下・責任転嫁・諦観』といった言葉で説明されるが、内的統制型のパーソナリティは『能動的・積極的・意欲の強さ・完全主義・過労(頑張りすぎ)』といった言葉で説明されることが多い。外的統制型と内的統制型のどちらが優れているということは無く、双方のバランスを取って積極性と消極性を臨機応変に発揮しながら、問題状況・ストレス事態に適切に対処していくことが大切である。

posted by ESDV Words Labo at 07:31 | TrackBack(0) | な:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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