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2010年09月28日

[ナルコレプシー(narcolepsy, 眠り発作)]

ナルコレプシー(narcolepsy, 眠り発作)

ナルコレプシー(narcolepsy)は眠り発作を伴う過眠症(睡眠障害の一種)であり、日中に何度も強い眠気に襲われて起きていることが出来なくなるという特徴がある。ナルコレプシーは思春期・青年期に好発する疾患であり、14〜16歳くらいの時期に一番発症しやすいとされている。昼間の過剰な眠気によって居眠りをしてしまうので、学業・仕事に支障がでることも多く、『車の運転・機械の操作』で事故を起こさないように十分な注意が必要である。

日中に繰り返し起こる眠気(睡魔)は非常に強いものであり、『場所・状況・意志』とは関係なく眠気が発生し、自分の意志ではその眠気に抵抗することが殆ど不可能である。医学的な診断・治療の機会を得ることができないまま、単なる『居眠り・睡眠不足』として見過ごされてしまうケースも多いが、自分の意志や睡眠確保では眠気を取ることができないので居眠りとは明らかに異なる病態である。

ナルコレプシーの代表的な症状は、以下の4つにまとめることができる。ナルコレプシーでは睡眠発作は必ず発生するが、情動脱力発作(カタプレキシー)が起こらない患者もいる。

1.睡眠発作……日中に頻繁に強い眠気に襲われて、その眠気に抵抗できずに眠り込んでしまう。

2.情動脱力発作(カタプレキシー)……喜怒哀楽の強い情動や驚きを感じた時に、筋肉に力が入らなくなり脱力してしまう。脱力して立ち上がれなくなったり転倒したりすることもあれば、呂律が回らなくなって上手く喋れなくなることもある。

3.入眠時幻覚……入眠時にノンレム睡眠ではなくいきなりレム睡眠に入ってしまうので、現実との区別がつきにくい幻覚・悪夢を見ることが多くなる。

4.睡眠麻痺……意識は覚醒しているのに身体が動かないという『金縛り』のような状況を経験することがある。レム睡眠の状態で目が覚めている状態であり、意識は覚醒しているが身体が眠っている状態なので、自分で自分の筋肉を動かすことができないのである。

上記の4つの代表的な症状は、『レム睡眠』が不適切な時期に起こることによって発生する症状であり、『レム(REM)関連症状』と呼ばれることもある。それ以外にも、無意識的に睡眠発作が発生することで、その間の行動・発言の記憶が失われている夢遊病に近い『自動症』という症状もある。一般にナルコレプシーの人は、睡眠と覚醒の周期が崩れるので熟睡が困難になり、夜間に何度も目が覚める『中途覚醒・熟睡困難』などの睡眠障害に悩まされやすい。

ナルコレプシーは1880年にフランスの医師ジェリーノ(Gelineau)が発見した脳機能に関連する睡眠障害だが、その発症メカニズムには意識の覚醒を促進する『オレキシン』という情報伝達物質の欠乏・不足が関係していると考えられている。

ナルコレプシーの医学的治療(薬物療法)では、日中の過剰な眠気を改善するために『塩酸メチルフェニデート(商品名リタリン)・モダフィニル(商品名モディオダール)・ペモリン(商品名ベタナミン)』といった中枢神経刺激剤が用いられる。覚醒剤に近い化学構造を持つリタリンは以前は重症うつ病にも適用が許されていたが、リタリンの乱用・依存性が社会問題化してきたため、2008年からはナルコレプシーのみへの適用に変更されている。

ナルコレプシーの発症率は日本で人口の0.16〜0.59%、欧米で0.02〜0.04%で、日本では約600人につき1人がナルコレプシーを発症すると推測されている。ナルコレプシーの患者は白血球の抗原の型であるHLAを調べると、ほぼ全員がDR2とDQ1が陽性という特徴もある。ナルコレプシーの医学的診断は、睡眠機能障害の専門医が睡眠ポリグラフ検査や睡眠潜時反復検査(MSLT)などの検査によって行う。3ヶ月以上にわたってほぼ毎日過剰な眠気の発作があるケース、あるいはそこに情動脱力発作が加わっているケースを、ナルコレプシーとして診断・治療することになる。

ナルコレプシー以外でも、睡眠不足症候群や特発性過眠症、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、睡眠覚醒リズム障害、うつ病、統合失調症などによって、昼間に強烈な耐え難い眠気が襲ってくることがあるので、疾患の鑑別が重要となる。

posted by ESDV Words Labo at 07:35 | TrackBack(0) | な:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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