ニュー・グループセラピー(new grouptherapy),ファシリテーター(facilitator)
ひとりの個人を対象にして実施される心理療法(カウンセリング)のことを『個人療法』といい、複数の人から構成される集団を対象にして実施される心理療法のことを『集団療法(グループセラピー)』という。集団療法は他者との率直な出会いを通して、ありのままの自己を表現して相互に自己・体験談を受容して貰うという体験から『エンカウンター・グループ(出会いの集団)』と呼ばれることもある。
エンカウンター・グループにはさまざまな目的や集団構成があるが、1960年代からアメリカで隆盛してきたエンカウンターに『ニュー・グループセラピー』というものがある。ニュー・グループセラピーの最大の特徴はセラピスト(心理臨床家)とクライアント(患者)という役割関係にこだわらないところであり、集団療法の参加者すべてが『ありのままの個人・率直な言動をする人間』として無条件に受容・肯定されることになる。
エンカウンターの作用機序は、人間と人間が建前に捕われずに『本音』で向かい合いながら、『心と心の交流』を促進することで、心理的問題が解決に向かい精神的にも成長できるということにある。ニュー・グループセラピーではセラピストやカウンセラーといった呼び方をせずに、『ファシリテーター(facilitator:促進者・進行者)』という呼び方をするが、ファシリテーターとは集団療法やミーティング、セミナーなどの集団活動を、円滑かつダイナミックに進行する役割を果たす人のことである。
ファシリテーション(Facilitation)というのは、集団運営や議論の整理、集団参加を促進する技術・手法の総称であり、その基本は参加者の『合意形成・積極的参加・相互理解』を促進するということにある。集団活動を組織して活性化させ、議論のプロセスを規定して話の流れを適切に整理し、ミーティングやセミナーに参加している人たちに生産的・共感的な体験を促進していくことがファシリテーションであり、ファシリテーションを行う人のことを『ファシリテーター』というのである。
ファシリテーターにはコミュニケーションスキルと共感能力が求められるが、『集団療法の日時・場所・参加者の選択と案内』といったオーガナイザーとしての役割が期待されることもある。ニュー・グループセラピーではファシリテーターの役割を果たす人も、積極的に参加者のひとりとなって会話・議論に参加することになっており、話題進行や話し合いの整理などを除いてはファシリテーターとクライアントの区別をしないというのが原則である。
ファシリテーターとしての適性・技術・能力は、グループセラピーだけではなくて会議やミーティング、住民参加型のまちづくりやシンポジウム、ワークショップなどのファシリテーションを行う場合に強く要請されることになる。ニュー・グループセラピーではファシリテーター自身が悩み・問題の話題に参加しながら、視覚に訴える問題の図式をホワイトボードに描いたり、身体の動きやジェスチュアを使って感情表現を活性化させたり、問題解決を促進する質問を投げかけたりすることもある。グループセラピーで提示された話題や苦悩の内容を、適切な形で整理しながら、『感情表現・合意形成・相互理解・肯定的受容』といったカウンセリング効果を体験できるように参加者を共感的にバックアップしていくのである。

