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2010年10月13日

[人間生態学(human ecology)]

人間生態学(human ecology)

生態学(ecology)とは動物と環境との相互作用を研究する生物学分野であり、動物の種の行動パターンや適応方略、進化論的な自然選択の仕組みと種の地形的分布なども研究の対象となる。動物の生態・繁殖・行動類型を調査する『動物行動学』や人間の各文化圏の生活や宗教、政治の特徴などを比較研究する『文化人類学』などとも関係した分野が生態学であり、生態学の理論やアイデアは応用心理学の分野に援用されることも多い。

人間生態学(human ecology)とは、生態学の研究方法と調査目的を社会学へと応用したものであり、人間社会の生態学的な特徴と機能、個人と社会の間の適応方略を研究する分野となっている。社会科学としての人間生態学は20世紀初頭に始まったとされており、初期の研究者であるR.E.パークR.D.マッケンジーE.W.バージェスらは『シカゴ学派』という社会科学系の研究グループに分類されていた。

現代社会では地域コミュニティの崩壊や人間関係の希薄化、地縁血縁が衰微する無縁社会が問題になっているが、R.E.パークらのシカゴ学派は『地域コミュニティと人間個人の相互作用』を主要な研究テーマに設定しており、個人と地域社会の共生とその発展こそが『人間社会の普遍的な発展パターン』を構成していると考えていた。R.E.パークは、意識的・競争的な協同行為の結果として『各地域の人間と制度の分布プロセス』が規定されるという仮説を作って、実際の地域コミュニティの歴史的な発展プロセスを実証しようと試みた。

社会学を実証的科学として確立しようとしたE.W.バージェスは、工業都市の発展プロセスとして『遷移地帯→労働者居住地帯→中流階級居住地帯→通勤者居住地帯』といった生態的な系の独立的な分布が見られるとしたが、現在では先進国の非工業化(サービス業化・金融業化)や製造業の空洞化によって工業都市の発展プロセスの例外が多くなっている。

人間生態学の学問領域が発展するための課題として、複雑で可変的な『文化的要因・価値観の要因』をどのように社会発展のプロセスに取り込むかということがあり、現在ではエコロジカル・アプローチ(生態学的アプローチ)が経済活動や文化芸術活動の領域の分析にも用いられるようになっているのである。



posted by ESDV Words Labo at 19:22 | TrackBack(0) | に:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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