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2010年10月13日

[アーロン・T・ベックの認知療法と認知的スキーマが生む『認知の歪み』]

アーロン・T・ベックの認知療法と認知的スキーマが生む『認知の歪み』

アーロン・T・ベックが1970年代に開発した認知療法(Cognitive Therapy)は、A.エリスの論理療法を技法的・理論的に洗練させた心理療法である。認知療法はうつ病(気分障害)に顕著な効果が認められるエビデンスベースドな心理療法であり、『客観的な状況・環境』を変えるのではなく『自分の物事の認知(捉え方)』をポジティブに変えることによって抑うつ感や無気力、絶望感を改善できるとした。

うつ病によって発生する『抑うつ感・億劫感・無気力・絶望感・希死念慮・不安感・焦燥感・イライラ・思考力(集中力の低下)』などの精神症状の原因には、脳内のシナプス(ニューロン間の間隙)におけるセロトニンの不足といった生物学的原因もあるが、認知療法では『非適応的・非現実的な認知の歪み』という心理学的原因に注目して心理療法を実施していく。

A.ベックは、人間は過去の経験や学習の積み重ねによって、物事や状況を解釈する時の基本的な枠組みである『認知的スキーマ』が形成されると考え、この認知的スキーマが非適応的な思考パターンを作り出すことがあるとした。『認知の歪み』による精神症状の発症には、認知的スキーマの偏った思考パターンが関係しているのであり、このネガティブな思考パターンを自己観察で発見するところから認知療法は始まる。

『認知の歪み』というのは、特定の意味づけがなされていない『客観的な状況・現実』に対して、自分の存在(能力)を否定するような考え方をしたり、自分に対する他人の言動を悲観的に解釈してしまったりすることであり、この認知の歪みを肯定的に修正することで気分・感情の状態が良くなってくるのである。

物事が思い通りに上手くいかなかったり、人間関係でトラブルが起こったり、自分を批判されるような状況を経験すると、人間は自分自身の存在価値や能力を否定する『認知の歪み』を持ちやすくなる。だが、その発症状況や行動パターンを冷静に再検討することで、『認知の歪みの非現実性』に気づいて改善のきっかけを掴みやすくなるのである。

ある状況や人間関係において自然に湧き上がってくる思考を『自動思考』というが、自動思考の中には『完全主義思考(全か無か思考)・すべき思考・過度の一般化・マイナス化思考・過大評価と過小評価・良い意味のフィルタリング・ネガティブなラベリング・結論の飛躍・読心術(相手の心の先読み)』などの様々な認知の歪みがあり、これらを現実的な検証を通して修正していくのが認知療法である。



posted by ESDV Words Labo at 19:23 | TrackBack(0) | に:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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