ウェブとブログの検索

カスタム検索





2010年10月28日

[集団精神療法としてのヌードマラソン療法]

集団精神療法としてのヌードマラソン療法

グループセラピー(集団療法)の中で、24〜48時間の長時間にわたって集団での話し合いを続けるものを『マラソン』と呼ぶ。クライアントが裸になって長時間のエンカウンターの話し合いに参加するというのが、『ヌードマラソン療法(nude marathon therapy)』であり、スポーツ競技の走るマラソンとは何の関係もない。複数の参加者が衣服をまとわない裸体になって共感的な自己開示や話し合いをすることで、心理的な問題や身体的なコンプレックスを改善できるとするのがヌードマラソン療法である。

ヌードマラソン療法の適応となる主なクライアントは、先天性異常による腕・脚・顔の欠損、怪我による腕・脚・顔の喪失や変形、乳がんによる乳房の喪失、外見的な炎症・糜爛(びらん)を伴う重度の皮膚疾患などの問題を抱えているクライアントで、特に『身体的・外見的な劣等コンプレックスの克服』においてこの療法が効果が見込まれるとされている。

このカウンセリング技法の作用機序は、他人に身体を見られることが恥ずかしかったり劣等感を感じたりする人が、『見られたくない身体の部位・状態』を敢えて他人に見せて暴露することで、その『不安・苦痛』に慣れて耐えられるようになる(実際には他人が自分の身体的特徴を否定・蔑視しているわけではないと実感する)という行動療法に基づくものである。身体的・外見的なコンプレックスによって、社会的な活動や積極的な行動が抑制されてしまって内向的になり悩んでいる人は多いが、『劣等コンプレックスを感じている部分』を見せて他人に認めてもらうという体験がもたらす気分・自意識の改善効果は大きなものがある。

正規のヌードマラソン療法は10〜20名の人数で実施され、お互いの裸体に対する羞恥心や劣等感を和らげるために夜の19時以降からスタートすることが多いが、初めの4時間程度はオリエンテーションの準備時間に当てられる。オリエンテーションでは自分の身体を見せることへの不安感・抵抗感について語り合ったり、お互いの劣等感を感じる部分に触れたり、音楽に合わせて裸で歩いたりといったことをするが、その後の4時間程度は睡眠や瞑想といった休養時間に当てられる。

睡眠などで休養を取った後には、子宮内で何の不安も悩みもなく生きていた胎児期を再体験するために、37度の温度に設定したプールにみんなで入って仰向けになって浮かぶ。精神的ストレスや不安感を抱えた人間に普遍的にあると仮定される『胎児回帰願望』を、母胎内の温度に近づけたプールでの浮遊やマッサージ、抱擁によって代理的に満たすのだが、この部分は催眠療法の技法の一つである『退行催眠(幼児期以前に意識を退行させていく催眠暗示)』に似た要素を持っている。

プールでのエンカウンター(集団療法)では、プールで仰向けに浮いた人の周りに集まって優しい言葉を掛けたり、抱きかかえたり、マッサージをして上げたりすることで、『リラックスした胎児期の自分』に退行して再体験しやすい状況を参加者同士で作ることが大切とされる。胎児回帰願望を温かいプールの感覚や周囲の優しい対応によって満たすことで、現実世界で感じていた心理的緊張が和らいで自分の存在を肯定する認知を持ちやすくなる効果がある。最後に、『自分の自意識・自己評価・コンプレックスのポジティブな変化』についてお互いに語り合い共感的に傾聴する時間を過ごす。

posted by ESDV Words Labo at 03:11 | TrackBack(0) | ぬ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/167417342
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック