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2010年10月28日

[論理療法(認知療法)における“認知‐感情不協和(cognitive-emotive dissonance)”]

論理療法(認知療法)における“認知‐感情不協和(cognitive-emotive dissonance)”

アーロン・T・ベックの認知療法では、客観的な出来事によって気分・感情が悪化するのではなく、客観的な出来事をどのように解釈するのかによって気分・感情は変化するという前提に立って、『認知の歪み』を修正することでうつ病の抑うつ感や不安感、絶望感を改善しようとする。

認知療法の中核にある信念は、『自分で気分・感情を自律的にコントロールすることが可能である』ということであり、『外部にある他人の言動・状況の悪化・環境の変化』のみによって自分の精神状態(気分・感情)が悪い方向に変化することを予防しようとするものである。

認知療法の理論・技法の原型となったA.エリスの論理情動行動療法(REBT)でも、ABCDEモデルに基づいてネガティブな気分や自己否定的な感情を生み出す“イラショナル・ビリーフ(非合理的な信念)”を“ラショナル・ビリーフ(適応的な信念)”に修正しようとする。

認知療法(論理療法)では、最初に『認知の歪み』や『イラショナル・ビリーフ』を特定するためのセルフモニタリング(自己観察)が重要になってくるが、認知療法の治療メカニズムは自分で観察した認知の歪み(イラショナル・ビリーフ)を、どのような新たな信念・価値観によってポジティブに修正できるかというところにある。

だが、自分で自分を否定したりネガティブな感情(気分)を作り出したりする『認知の歪み』は、長年の生活経験や対人関係によって形成された歪みでもあるので、簡単に短期間で変化させることは一般に難しい。自分で自分を精神的に追い込んでしまう認知の歪みやイラショナル・ビリーフに気づいているにも関わらず、同じような不合理な認知や不適応な行動を繰り返して悪循環に陥ってしまうことがあるが、この事を論理療法では『認知‐感情不協和(cognitive-emotive dissonance)』と呼んでいる。

論理療法(認知療法)の治療効果を発揮するためには『認知‐感情不協和(cognitive-emotive dissonance)』を解消することが必要であるが、その解消のためには以下の点に留意すると良い。

1.論理療法の『認知(信念)の変容』は急速に短期間で起こるものではなく、段階的に小さなステップを踏んで起こるものだということをクライアントに優しく丁寧に説明する。

2.宿題療法を活用して、現在のクライアントが達成できそうなレベルの『宿題・課題』を少しずつ出していく。

3.論理療法の3段階の洞察を分かりやすくクライアントに説明する。

『第1段階:感情や気分の問題の原因がイラショナルビリーフにあるという洞察・第2段階:イラショナルビリーフによる精神状態の悪化が過去ではなく現在で起こっているという洞察・第3段階:自分以外の誰にもイラショナルビリーフを修正することはできず自分で粘り強く自分の非合理的な考え方と向き合うしかないという洞察』というのが3段階に分類される論理療法的洞察である。

4.フラストレーション耐性を高めるための訓練として、『結果がでないことに対して焦らないこと』を指示し、クライアントのフラストレーションやもどかしさへの共感感情を十分に示すこと。



posted by ESDV Words Labo at 03:18 | TrackBack(0) | ろ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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