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2006年04月25日

[ユング心理学のイマーゴ(imago)],[集合無意識領域の元型とイマーゴ]

イマーゴ(imago)

イマーゴ(imago)とは、カール・グスタフ・ユングが構想した分析心理学の用語であり、英語でいうイメージ(心像,形象)のことである。内面心理で形成されるイマーゴは、『対象の意味』を表現する表象の一つである。人間は、世界にある対象の意味・内容を知覚・認知を通して『言語とイメージの表象』で理解している。

表象(presentation)とは、知覚内容や記憶機能に由来して、直観的に心の中に生起する『外的対象の像』であり、対象の形態や意味を表現するものである。概念や理念と比べると主観的な要素が強く、表象は、その場で反射的に形成される心像やイメージとしての意味合いを強く持っている。

表象をイメージ的な像だけに限定する定義と、言語的な意味の表現まで含める定義とがあるが、広義に表象を定義すると『外的事象の意味を心の中で表現するもの=イメージ・言語』ということが出来る。私たちは、世界の事物や対象を理解する場合には、イメージという主観的表象と言語という客観的表象を適切に利用していることになる。言語の場合には、物事の意味や対象の内容を他者と共有する為のコミュニケーションを行うツールにもなる。

一般的にいうイメージ(イマーゴ)とは、目の前にない直接的に知覚できない対象を内面で想起した表象であり、直観的・具体的に心の中で想像した像(心像)のことを指す。私たちは、実際に会っていない家族や知人の顔をイメージとして心の中に思い浮かべることが出来るし、過去の経験や懐かしい風景などを精神世界で像として再現することが出来るが、この心の中の情景や像がイメージなのである。

ユング心理学(分析心理学)でいうイマーゴの最大の特徴は、人類や民族に共通する普遍的無意識(集合無意識,collective unconscious)を前提としたイマーゴであるという事である。そして、ユング心理学における内面世界のイマーゴは、直接的な知覚や認知、記憶、学習によって限定されることがない。ユングは、普遍的無意識領域にある元型(アーキタイプ,archetype)から、自発的で能動的なイマーゴが湧き上がってくることがあるとしている。

分析心理学のイマーゴは、過去の心理体験や生活記憶に依存する受動的で想起的なイメージに限定されるものではなく、客体(外部の事物)を心の中に再現する心理機能を意味するものでもない。ユングの語るイマーゴは、普遍的無意識から繰り出される元型の表れとしての人類共通のイメージであり、世界各国の神話伝説や民俗伝承などの精神的起源につながっていく能動的なイメージなのである。

イマーゴは、個人の主観的経験の再現として生まれる心像ではなく、主観的経験の枠組みを超えた普遍的無意識から自律的に能動的に生み出される心像や表象であって、『個人の精神世界』と『外部世界の意味』との相互的な関係を想像的に表現している。分析心理学を基盤に置く精神分析では、イマーゴを積極的に生起させるアクティブ・イマジネーションの技法があり、イマーゴとして登場する人物に語りかけたり、風景を丁寧に観察したりすることもある。

イマーゴは、宗教体験と心理療法の中間領域(マージナル・ゾーン)にある表現媒体であり心理体験なのである。

posted by ESDV Words Labo at 17:55 | TrackBack(0) | い:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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