ゲシュタルト療法のアート体験法(gestalt art experience)
ゲシュタルト療法のアート体験法(gestalt art experience)とは、創作活動や表現行為といった直接的経験を通じて、知覚レベルの自己理解や感情洞察を深めようとする技法である。
美術を専門的に学んでから、ゲシュタルト療法を習得した女性の療法家J.B.ライン(J.B.Rhine)によって考案されたものである。アート(芸術・技芸)の自己表現活動、自由なイマジネーションの創作活動を行って、『今、ここにある自分』の感情・気分・身体感覚への『知覚的な気づき(アウェアネス)』を深めることで改善効果や自己の成長へとつなげていこうとする。
ゲシュタルト療法では、『洞察(インサイト)』よりも『覚知(アウェアネス)』を重視する傾向があり、精神的な内省ではなく体験的な知覚によって自己理解を深めることを目指すのである。
アート体験法は自己理解と他者との共感を目標として行う体験的な心理療法であると同時に、創作作品を巡って仲間を楽しく意見を交わし合う共感的な人間関係の場である。芸術的な価値のある作品をつくろうとか、他人に認められる芸術を制作しようとか考えずに、静かにリラックスした心理状態に浮かび上がってきたイメージや情景をそのまま作品にしてしまうような感じでアートを作っていくのが基本である。
カラフルなクレヨンや絵の具を使って画用紙に、自分の表現した形態や人物、色彩を自由な発想で描いていったり、気分が赴くままに粘土を捏ねて自分の心に浮かんでくる人物や動物、モノなどを作ってみたりする。そして、表現されたものを『自分自身』と解釈して、他人に『自分の作品』を通して伝えたい何かを説明してみたり、他人の制作した芸術作品の説明を共感的に聴いたりする中で、構成的エンカウンター(集団カウンセリング)の効果を得ることが出来る。
芸術・技芸を表現していく過程の中で出現する身体の動作、表情の変化、音声の表現、他人とのおしゃべり、そういったもの全てがあなたの自己表現の発露となり、感情浄化(カタルシス)や心理的な改善の効果をもたらしてくれる。
ゲシュタルト療法では、このアート体験技法を、その他の体験的技法やロールプレイングと組み合わせることでオーセンティック・セルフ(ありのままの本来の自己)に接近して心理的な成長が出来ると考える。
その他のゲシュタルト療法の技法としては、『ドリームワーク(夢の中に出てきた登場人物や動物、状況になりきって、その気持ちや感情を語ってみる技法)』や『エンプティ・チェア(空き椅子に座った相手を想像しての一人演技のロールプレイング)、『トップ&アンダードッグ(義務的な自己と自由な自己とを相互に対話させてみる技法)』、『ホットシート(他人から自分の長所と短所を指摘してもらう技法)』、『役割交替法(いろいろな関係者と役割を交替してロールプレイングする技法)』などがある。
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2006年04月27日
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