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2011年01月13日

[バイステックの7原則(seven principles of Biestek)とケースワーク]

バイステックの7原則(seven principles of Biestek)とケースワーク

社会福祉的な対人的・制度的な援助を必要とする困窮者を、個別に支援する活動を『ケースワーク(社会福祉援助技術・個別援助技術)』といい、ケースワークに携わる専門職者・担当者のことを『ケースワーカー』と呼ぶ。個別的な対人援助・相談案件を『ケースワーク(casework)』と呼んで、制度的な社会福祉事業全般を『ソーシャルワーク(socialwork)』と呼ぶこともあるが、社会的な困窮者・弱者を社会福祉制度や対人援助技術を用いて支援していくという活動内容は同じである。ソーシャルワークの直接援助技術の一つとして、ケースワークがあるという構図になっている。

日本でケースワーカーの役割を果たしているのは、行政の社会福祉(障害者福祉・高齢者福祉・児童福祉)や生活保護(経済的困窮者の支援)の担当者や病院に勤務する相談員(MSWの医療ソーシャルワーカー)などである。ケースワークの専門的な知識・技術・経験を担保する国家資格として『社会福祉士・精神保健福祉士』などの資格も整備されており、高齢化社会の進展(要介護者)や生活困窮者(失業者)の増加を受けてケースワークの社会的需要は高まっている状況にある。

アメリカのケースワーカーであるフェリックス・P・バイステックは、ケースワーカーとクライアントの共感的な関係性を基盤において、ケースワークの基本的な態度・行動原則を7つの原則にまとめている。フェリックス・P・バイステックの著書『The Casework Relationship(邦訳:ケースワークの原則)』で、『バイステックの七原則(seven principles of Biestek)』として整理されたケースワークの基本的な行動原則・援助技術は以下のようなものである。

1.個別化の原則……ケースワークの利用者を『疾患の類型・特定の層』として分類的に認識するのではなく、個別の問題状況・ニーズ・価値観を持った『固有の個人・尊重すべき個人』として認識しなければならないという原則。

2.意図的な感情表出の原則……クライアントが内面に溜め込んでいる『感情・考え・苦悩』を自然に表出して発散できるように支援していき、どんな感情の表出であっても善悪の価値判断を加えずに尊重して上げなければならないという原則。

3.制御された情緒的関与の原則……ケースワーカーはクライアントに対する自分自身の感情を客観的に認識し、適度なレベルでその表現を制御していかなければならないという原則。適切に制御された自分の感情・情緒を活用しながら、クライアントに対して共感的な情緒的関与を行っていくことであるが、それと同時に、自分自身がクライアントの激しい感情に呑みこまれ過ぎずに、専門家として冷静で的確な判断をできるようになるということでもある。

4.受容……クライアントの人間性や感情表現、発言内容を尊重して受け止めるということであり、『クライアントの個性・人生観』を受容しながら援助的な人間関係を作り上げていこうとする原則。

5.非審判的態度……クライアントの行動や発言、価値観、人生観について『何が正しくて、何が間違っているか』という善悪判断を審判的な態度で下してはいけないという原則で、『一般的な価値基準によるクライアントの非難の禁止』にもつながっている。ケースワーカーがクライアントにとっての善悪や必要性を判断するのではなく、クライアント自身が自らの人生において何が正しくて何が間違っているのかを主体的に判断していかなければならない事の現れである。ケースワーカーは飽くまで『クライアントの補助的役割』に徹することが望ましいとされる。

6.クライアントの自己決定……問題解決・状況改善の主体をクライアントにするために、クライアントの行動・判断に関する自己決定を尊重しなければならないとする原則で、『ケースワーカーの命令・指示』も当然に否定されることになる。クライアントの精神的・実際的な成長を『自己決定の尊重』によって支援すると同時に、同じような問題状況に直面した時に、クライアントが誰かの助けを借りなくても、一人で問題を解決できるようにすることが一つの目標である。

7.秘密保持(守秘義務)……ケースワーク・社会福祉援助を実施する過程で知り得た『クライアントの個人情報・プライバシーに関連する情報』を、外部に漏らしてはならないとする守秘義務の原則である。『個人情報保護法』の法律とも照らし合わせて、『クライアントの同意』を得ながら必要な情報を得ていく必要があるが、その情報を公開したり他の公的機関(医療機関)に伝達する場合にも、原則的にはクライアントへの『インフォームド・コンセント(十分な情報提供に基づく同意)』が必要となる。

このケースワークで応用されている『バイステックの7原則』は、傾聴を重視したクライアント中心療法を開発してカウンセリングの神様と呼ばれたカール・ロジャーズが提起した『カウンセラーの基本的態度』と類似した要素を多く持っている。



posted by ESDV Words Labo at 23:08 | TrackBack(0) | は:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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