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2011年01月31日

[恋(エロス)と愛(ラブ)と博愛(アガペー)の違い]

恋(エロス)と愛(ラブ)と博愛(アガペー)の違い

男女の恋愛感情には、『エロス・ルーダス・ストロゲー・プラグマ・マニア・アガペー』の6つの種類が想定されることが多いが、それぞれ以下のような特徴を持つ恋愛感情となっている。交際している一般的な男女の間の恋愛感情は『エロス(eros)』であることが多く、信頼関係や利他感情、生活の共有度が高まるにつれて『愛(love)』へと移行していきやすくなる。

エロス……性的欲求や自己愛を中核に持つ『情熱的な恋愛』

ルーダス……執着心や独占欲が弱い楽しむための『遊戯的な恋愛』

ストロゲー……信頼感情や安心感を基盤とする『友愛的・家族的な恋愛』。友愛を指し示すものとして『フィリア』が用いられることもある。

プラグマ……相手から得られる実際的な利益や便宜を重視する『実利的な恋愛』

マニア……相手を完全に独占して自分のものにしたいという『狂信的な恋愛』

アガペー……利己的欲求や私的感情を超越した自己犠牲・献身を惜しまない『博愛的な恋愛』

一般的な恋愛感情は、性的欲求や自己愛、独占欲など、自分自身が満たされて幸せになることの優先度が高い『エロス』であることが多いが、エロスは燃え盛るような激しく情熱的な恋愛感情を高めるので、『相手と恋愛をしているという実感』が最も強くなりやすい。エロスの起源はギリシアの愛の神エロスにあり、古代ギリシアの哲学者プラトンが唱えた『イデア論』では、完全な統一体である自己のイデアを完成させるために、『失われた半身としての異性』を衝動的・情熱的に追い求めるのがエロス(恋愛)であると考えられている。

プラトンは『不完全な欠落感のある男性・女性』が、『失われた半身としての異性』を見つけ出して性的に結合することで、イデア界にあると想像される『完全な自己のイデア』に近づけると仮定した。現代においても、『自己の不全感・欠落感・孤独感』を補うために、異性(他者)を求めるという自己愛性がエロスの一つの特徴となっている。

恋愛(エロス)と愛(ラブ)の違いは、エロスが『性愛(セックス)・自己愛・利己性(自分の幸福)』が重視されやすいのに対して、愛(ラブ)のほうは『信頼関係(生活共有)・対象愛・利他性(相手と相互の幸福)』が重視されやすいということである。『恋愛(エロス)』では相手を独占して自分が愛されたい(認められたい)とする『情熱的・自己愛的な恋愛感情』が高まりやすいが、『愛(ラブ)』では相手と一緒に幸福を実現して相手を愛して幸せにしたいという『利他的・対象愛的な恋愛感情』が高まりやすくなるのである。

男女間での『愛(love)』とは、以下の3つの条件を満たしている感情及びそれに付随する利他的行動のことを意味すると考えられる。

1.相手のことが好きであり、その存在を代替不可能なものとして必要としている。

2.相手の人格・存在・感情の価値を尊重していて、相手への共感性を持っている。

3.相手の実際的な利益・生活・安心にも配慮していて、自分が努力すればできることを、して上げることができる。

『愛(love)』を更に無差別的・利他的に拡張した概念として、神の無償の博愛ともされる『アガペー(agape)』があるが、愛が『特定の好きな相手だけ』に対する利他的な感情・行動であるとするならば、アガペー(博愛)とは誰が相手であっても無差別的に献身的な愛情や恩恵を与えようとする究極的な無条件の愛なのである。

通常、『特定者への愛(ラブ)』『無差別の博愛(アガペー)』と両立することは困難であり、特定の恋人・配偶者と同等以上に、すべての他人を愛して献身的な行動をしようとすれば、恋愛関係や家庭生活を維持できなくなってしまうことのほうが多い。

現実世界の諸条件や人間的な感情(独占欲・嫉妬)などを考慮すれば、アガペーを実践して無差別的な慈善・利他行動をしようとするのであれば、かなりの部分の『個人的な幸福・異性関係の充実』を放棄する自己犠牲の精神が必要になってくる。なぜなら、大半の人は恋愛や結婚、家庭生活に対して『自己愛・自己防衛の優先性(他の人より恋人・家族を最優先することが倫理的に正しいとする判断)』を持っているからである。そして、アガペーの実践によって他の人にリソース(労力・時間・お金)を少なからず使うのであれば、自分たちのほうに使ってほしい(他人に慈善や助力をする余裕なんてないし優先順位を間違ってはいけない)と思うのが自然な感情でもあるからである。

posted by ESDV Words Labo at 22:53 | TrackBack(0) | は:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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