うつ病自己評価尺度(self-inventory of depression)
認知療法の創始者であるペンシルバニア大学のアーロン・T・ベック教授の開発したBDI(Beck Depression Inventory, ベック抑うつ質問紙,ベックうつ病評価尺度)のような抑うつ感の種類と深刻度を自己評価する質問紙法を『抑うつ自己評価尺度(self-inventory of depression)』と言う。
抑うつ感(depression)とは、感情機能が抑制されて、極端に気分が落ち込んで意欲が減退している精神状態のことであり、うつ病の精神運動抑制の特徴を示す主要症状の一つである。
抑うつ感や憂鬱感という感情障害(気分障害)の特徴は、『活動性や活発性の過度の低下・物事に対する意欲の消失・食欲や睡眠欲といった生理学的欲求の低下・自尊心の低下による自己無価値感・強烈な悲哀感情と涙もろさ』などで示される。病的でないストレスに反応して生じる通常の抑うつ感の場合には、日常生活に支障が出るほど耐え難い抑うつ感ではなく、その持続期間も比較的短いとされる。
BDI(ベック抑うつ質問紙)などの抑うつ自己評価尺度(self-inventory of depression)では、うつ状態に付随する様々な心身症状や精神状態に関する質問項目に自分で回答していく。その回答結果に割り振られた点数を計算することによって、自分の抑うつ感の症状の内容や重症度を客観的に評価することが出来るのである。
自己評価尺度の利点は、面接技法によるうつ病の問診よりもリラックスして自然な心理状態で回答していくことが出来るところである。反対に、自己評価尺度の問題点としては、各質問項目に対する回答に、主観的な判断や自分に固有の考え方が反映されやすいという問題がある。ある人が深刻で耐えられないと感じる抑うつ感が、ある人にとっては何とか我慢できる程度の抑うつ感だと判断されるようなケースがある。
アーロン・ベックが開発したBDIでは、『うつ病症状の重症度』を総合的な観点から診断的に評価することができ、うつ病の可能性を診断する実際の精神科臨床においてもよく用いられている。
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