ウーマン・リブ(women's lib)
男女同権主義に基づく男女共同参画社会の実現を構想する女権拡張の思想をフェミニズム(Feminism, 女性主義・女権拡張主義・男女平等主義)と呼ぶ。女性の社会的権利や性行動の自由(生殖の自由)、男女の政治的平等を尊重するというフェミニズムの起源は、宗教的な母権制社会の母性原理にあると推測することができる。
しかし、『父なる神』を崇拝するキリスト教やイスラム教など父性原理に基づく一神教の普及によって、『母性の象徴する寛容や豊饒』を讃える母性原理の世界観は抑圧される事となった。また、共同体の国防力(軍事力)と秩序志向を高める家父長制社会の法制化によって、長い間、歴史の表舞台にフェミニズム思想が登場することはなかった。
政治的・経済的・社会的な女性解放を目指すフェミニズムが明確に思想としての輪郭を現し始めたのは、『自由・平等・友愛』のスローガンを掲げたフランス革命(1789年)の影響が色濃く残っていた1830年代のフランス(第1波フェミニズム)においてである。
古代から現代まで両性の平等と尊重を掲げる思想を持っていた女性は数多くいたと思うが、明確な政治的影響力を持つ思想潮流としてフェミニズムが認識され始めたのは19世紀半ばくらいからである。
19世紀の時代に、男女同権思想として社会的潮流となったフェミニズムは、基本的人権を論拠におく近代思想であると言える。両性の本質的平等と政治的・経済的・性的な女権拡張を目的とする思想がフェミニズムであり、その思想の所有者をフェミニストという。
現代のフェミニズムの中心課題は、『男は仕事と政治・女は家庭と育児』といった男女の性別役割分担(性別役割分担の固定観念)を批判して、性別による賃金格差を完全に是正すること、その結果として、男女が自由に自分の人生を選択できる男女共同参画社会を完成させることにあると言える。こういった男女の完全平等主義の思想に大きな影響を与えた思想潮流としては、共産主義社会を構想したマルクス主義フェミニズムや空想的社会主義の社会理念がある。
フェミニズムのもう一つの中心課題は、『バース・コントロール(出産に関する女性の自己決定・女性の権利としての人工妊娠中絶)とセクシャリティ(同性愛など性的指向性)の平等』である。共同体の維持や家系の発展の為に子どもを産ませられる受動的な立場にある女性性を否定して、女性自身の幸福追求や主体的選択としての妊娠・出産の権利を取り戻そうという思想である。
男女雇用機会均等法やセクシャル・ハラスメント規制法、男女共同参画社会推進法などによって法制面ではフェミニズムの思想が取り入れられる機会が多くなっているが、伝統的家族像を尊重する保守主義の立場からは、男女の性別役割分担を否定すると家族の秩序が崩壊し、育児や家事、休養の場としての家庭機能が不全に陥るという批判もある。
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2006年05月26日
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