ウェブとブログの検索

カスタム検索





2006年06月09日

[アニミズム(animism)と一神教の宗教観の対立][7歳以前の子どものアニミズム的な世界認識]

アニミズム(animism)

アニミズム(animism)『精霊崇拝・汎霊説・物活説』と訳される原初的な宗教感情で、生物(生命活動を行う有機物)と非生物(無機物)の全てに霊魂や神性、感情を認める思想である。

アニミズムという用語は文化人類学の宗教研究のテクニカル・ターム(専門用語)として使われるようになり、19世紀に、イギリスの人類学者E.B.タイラーが現在使用される汎霊説(全てのものに霊性を認める思想)の意味でアニミズムを用いてそれが一般に普及したとされる。アニミズムとは、自然界にある森羅万象の全てを擬人化して、生命体以外の物質にも霊魂や精神の存在を認める宗教的感性のことである。動かないもの、意思表示しないもの、目に見えないものにも生命や感情があるとする自然観を前提としている。

一神教のキリスト教の影響を強く受けるようになる4世紀以降の西欧世界では、霊的・精神的なものは、物質的・肉体的なものから区別され、霊性によって『物質である肉体』に生命の尊厳と機能が吹き込まれると考えられるようになった。16世紀に生きた哲学者ルネ・デカルトも、延長(物質)と精神からなる心身二元論によって世界の基本構造を認識し、非生物である物質(延長)に生命体特有の精神や霊性は宿らないと考えた。

アニミズムに基づく自然崇拝的な感情は、『非生物である自然・物質』を客体化(モノ化)してしまう機械論的自然観によって次第に薄れていった。また、キリスト教やユダヤ教、イスラム教など一神教の世界観は、アニミズムが提起する多神教や汎神論の世界観と真っ向から対立するものである。キリスト教では、全知全能の神がこの世界にある全てのモノ(森羅万象)を創造したという世界観が前提にあり、巨岩や大木、清流などに神聖性を認めるアニミズムの宗教観は無知な蛮族が持つような異教的感性であるとして排斥されるようになる。

キリスト教教義に影響を受けた西欧中心主義の宗教観では、唯一神の存在を否定するアニミズム・シャーマニズム・汎神論・多神教は、一神教よりも劣った未開部族の宗教感情であると考えられていた。テオドシウス帝統治下のローマ帝国でキリスト教が国教化(395)すると、唯一神の絶対性を否定する多神教(ギリシア・ローマ宗教)は弾圧された。多神教だけでなく、自然界の森羅万象に神性を認めて崇めるアニミズムも無知の産物として否定され、トランス状態に陥った巫女(霊媒師・呪術師)が宗教活動をするシャーマニズムも罪深い異教として迫害されたのである。

しかし、ユピテル(ギリシア語ではゼウス)やアポロンを崇拝するローマ宗教の全盛期にも、ローマ共和国は高度な文明社会と優れた文化芸術を保有していた。ゼウスやアテナなどオリンポス12神を信仰したギリシアのポリス群(アテネ・スパルタ)も、小アジアのイオニア地方やヨーロッパ南部に植民都市を築けるレベルの政治力と軍事力を持っていた。プラトンやアリストテレスなどが残した哲学思想は、現代に至るまで継承され歴史的価値を認められているし、壮麗で優雅な建築や彫刻などの芸術作品も多く残している。

日本の伝統宗教である神道にも、アニミズム(汎霊説)の宗教観があり、村落の近郊にある大きな岩や荘厳な滝、清らかな河川、長い年月を生きた大木に神聖性を見出して、宗教的な祭祀や礼拝の対象としていた。青森県の恐山などに残っているイタコの霊媒は、日本の歴史的なシャーマニズムの名残として考えることが出来る。

スイスの児童心理学者ジャン・ピアジェ(J.Piaget ,1896-1980)は、自身の認知的な思考の発達段階説の中で、感覚運動期(sensory−moter period, 0-2歳)前操作期(preoperational period, 2-7歳)の段階にある子どもは、自他未分離の自己中心性を脱却できておらず、アニミズムの思考形態を持っていると考えていた。つまり、身体性の刺激感覚によって外界を認知する乳幼児期の子どもは、自分の内部にある感情や意志といった諸性質を自分の外部にある事物や現象に付与して、あらゆる自然界の事物に生命や意識を認めるのである。



posted by ESDV Words Labo at 08:03 | TrackBack(1) | あ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック

差異に手向ける断片十章
Excerpt: ★今日のひとこと★ 今日はSatoちゃんに、後藤真希様の新曲のジャケットのことでツッコミを入れられたのでwすぐに買いにいきました。結構売れてるようで、近所のvirginでは売り切れ、、、。仕方なく、..
Weblog: 差異と反復それでも差異と反復
Tracked: 2006-06-09 23:56