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2011年03月22日

[発達課題(developmental tasks)とE.H.エリクソン,R.J.ハヴィガーストの発達理論]

発達課題(developmental tasks)とE.H.エリクソン,R.J.ハヴィガーストの発達理論

発達心理学の研究目的の一つとして、生涯発達図式において一定の発達年齢で達成しておくべき課題を発見・定義することがあり、この各年齢段階における心理的・社会的・対人的な課題のことを『発達課題(developmental tasks)』と呼んでいる。最も人口に膾炙している発達課題は、エリク・エリクソン(E.H.Erikson, 1902-1994)社会的精神発達論(漸成発達図式)であり、その発達段階と発達課題(その達成と未達成)は大まかに以下のように定義されている。

乳児期(0歳〜1歳半)……基本的信頼感と基本的不信感,母親との関係で愛情を受け取りそれに反応する。

幼児期前期(1歳半〜3,4歳頃)……自律性と恥・疑惑,母親・父親との関係でトイレトレーニング(排泄の練習)などで基本的・生理的な自律感覚を身に付けていく。

幼児期後期(4歳〜6歳頃)……積極性と罪悪感,家族だけでなく保育園・幼稚園での友達関係を経験して積極的に物事を行う意欲を感じる。注意されたり否定されたりバカにされたりすることで、積極性を失って罪悪感や自信の無さを感じやすくなる。

児童期・学齢期(6歳〜15歳頃)……勤勉性と劣等感,学校のクラスメイトとの力関係や勉強・スポーツの成績の競争(友達との各種の比較・クラス内の力関係)によって、勤勉に努力することの必要性や自分のほうが劣っているという劣等感を感じやすくなる。

青年期前期・思春期(15歳〜22歳頃)……自己アイデンティティ(自我同一性)の確立と自己アイデンティティの拡散,社会的な関係性や役割意識を通して、社会内部での自己の存在意義や目的を確認していく。自分の世界観・人生観を自分の実体験を踏まえて確立したり、イデオロギー(思想哲学)を習得することで再定義したりする。

青年期後期(20代半ば〜30代前半)……親密性と孤立,社会参加して協力や競争をしながら、異性や他者と親密な関係性を発展させていく。人によっては結婚したり家族を形成することで、自己アイデンティティ(自己の存在意義や役割意識)の基盤を固めようとする。他者との関係性の変化を通して、自分自身であることが解体されやすくなるが、再び家族や異性、子どもなどを通して新たな自己アイデンティティが再構築されることになる。

中年期・壮年期(30〜50代)……生殖性と自己停滞,子どもが産まれて教育・文化・伝統を継承させるという生殖性が一つの目的となるが、そういった生殖性や意欲性が障害されて何をして良いか分からなくなると『中年期の危機』である自己停滞に陥りやすくなる。家族・社会において年長者となり責任ある役割を任されることが増えて、後進の若者の指導をしたり世話をしたりする。

老年期(60・70代以降〜)……統合性と絶望,自分自身の衰退や死を自覚するようになることで、今までの人生全体を総括したり自己の存在や人間の価値などについて統合的な了解を得たりすることが目的となる。“私・欲望”という自我意識の執着から離れて、大局的なコスモポリタンの意識を持ちやすくなり、『家族・地域・国・世界・人類』といった経験に裏打ちされた幅広い視野を獲得することで、老成した叡智・知恵・調停力の発揮が期待されるようになる。

E.H.エリクソンの発達段階と発達課題について上で説明したが、『発達課題』という概念そのものを初めて使用したのは、『人間の発達課題と教育』を書いたアメリカの教育学者ロバート・J・ハヴィガースト(Havighurst,R.J. 1900-1991)である。

R.J.ハヴィガーストは『人間が健全で幸福な発達を遂げる為に各発達段階で達成しておくことが望ましい課題を発達課題という。次の発達課題に問題なくスムーズに移行する為に、各発達段階で習得しておくべき課題がある』という言葉で発達課題について定義している。また、『発達の順序性・不可逆性』を指摘している。つまり、発達課題は前の発達段階から次の発達段階へと、一つずつ順番に達成していかなければスムーズに精神発達(機能的発達)が進まないという“順序性”を持つが、一回達成した発達課題は前の段階に戻ることはない(獲得された精神機能や適応性は通常失われない)不可逆性も持っていると主張した。

R.J.ハヴィガーストの発達段階・発達課題の理論では、乳幼児期に『排泄・歩行・食事・発話の学習,生理的発達の安定,生物学的な性差の学習,基本的な善悪の区別』、児童期に『友人関係の確立,規則正しい生活態度の形成,読み書き計算の基礎学力の習得,良心や道徳性の発達,社会集団や社会ルールへの健全な態度』、老年期に『体力の低下や健康の衰えへの適応,減少する収入への生活水準の適応,若い人たちへの叡智の提供,死の到来への準備と受容』など色々な発達課題が定義されているのだが、ハヴィガーストの発達課題は概ね以下の3つのカテゴリーに分類して考えることができる。

1.身体的成熟に関する発達(歩行の学習・体力の向上・性的な成熟など)

2.社会的・文化的・時代的な要請に適応するための発達(読み書き計算の基礎学力の習得・ジェンダーや社会規範の学習・市場経済や民主的意志決定への適応・経済的精神的な自立など)

3.個人的な価値観や選択・選好に関する発達(進学や就職など進路選択・職業選択・異性の選択と結婚の決断・人生観や価値観の形成・社会や世界に向き合う態度など)

posted by ESDV Words Labo at 06:12 | TrackBack(0) | は:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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