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2011年04月17日

[ハンス・アスペルガーの“アスペルガー障害”とローナ・ウイングの“ウイングの3つ組”]

ハンス・アスペルガーの“アスペルガー障害”とローナ・ウイングの“ウイングの3つ組”

オーストリアの精神科医ハンス・アスペルガー(Hans Asperger, 1906-1980)が1944年に発見したアスペルガー障害(アスペルガー症候群)の概念を普及させたのは、イギリスの女性精神科医のローナ・ウイング(Lorna Wing, 1928〜)だった。

1944年当時、H.アスペルガーは現在のアスペルガー障害のことを『自閉的精神病質』という疾病概念で呼んでいたが、その特徴は『共感能力の欠如・友人関係を作る能力の欠如・一方的に話し続ける会話・特定の興味関心への極めて強い集中(固執)・ぎこちない動作』などであった。H.アスペルガーは、コミュニケーション能力や社会性の獲得、興味関心の広さなどに特異的な行動パターンが見られるとし、『自分の興味のある事柄』については非常に高い集中力を発揮して、相手の反応を無視して一方的に捲くし立てるように話す特徴(自分の話したいことだけを一方的に話し続ける特徴)があるとした。

1981年にローナ・ウイングがH.アスペルガーのアスペルガー障害に関する研究業績を紹介したことで、『アスペルガー障害』の認知度が高まることになるが、自閉症との差異として『知的障害・言葉の発達の遅れが殆ど見られない事』がある。そのため、アスペルガー障害は高機能自閉症に分類されることもあるが、知能指数が平均以上に高いアスペルガー障害の人でも、他人の気持ちや意図を適切に推測できないなど『対人関係・コミュニケーションの問題』を抱えているので、社会的・職業的な支障(人間関係が上手くいかなくて安定的に働くことができない等)が起こってくることが少なくない。

L.ウイングがアスペルガー障害を含む自閉症(自閉傾向)の中核症状として定義したのが『ウィングの3つ組』であり、それは『対人関係の障害(社会性の障害)・コミュニケーションの障害(言語機能の発達障害)・イマジネーションの障害(こだわり行動と興味の偏り)』の3つの特徴的な障害を指している。

対人関係の障害では、アイコンタクトができなかったり、相手の表情や態度、ボディランゲージなどの非言語的コミュニケーションを活用できないために『相手の意図・感情』を正しく推測できなかったりすることがあるが、これらの対人関係の障害は上記したように、相手の感情・意図を推測するための『心の理論』の障害によって生まれていると考えられる。『行間・空気・ユーモアを読むコミュニケーション』『暗黙の了解(世間的な常識)を前提としたコミュニケーション』ができないために、対人関係でトラブルを起こしやすいというのが、アスペルガー障害が原因になって起こる問題の典型である。

posted by ESDV Words Labo at 23:48 | TrackBack(0) | は:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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