ローナ・ウイングの“アスペルガー障害・自閉症スペクトラム”とDSM-Wによるアスペルガー障害の診断基準
前回のアスペルガー障害の記事と関係するが、L.ウイングは更に自閉症スペクトラムの人の対人関係のあり方を観察して、『孤立群・受動群・積極奇異群』の3つのグループに分類している。
1.孤立群……他人に対する興味関心そのものが無いか乏しい群。知的発達に重度の遅れ・障害があったり興味関心の偏り(制約性)が強い場合に起こりやすい。
2.受動群……人から指示されたり言われたことに従いやすい受け身の群。不適応な問題行動は一般に少ないのだが、青年期に対人関係や社会活動への消極性(非自発性)が問題になってくることがある。
3.積極奇異群……自分の興味関心があることだけを、相手の反応を考えずに一方的にしゃべるような群で、コミュニケーションをしている相手に対して『奇異・風変わり』といった印象を与えやすい。
L.ウイングは自閉症スペクトラムの人のコミュニケーションの障害について、以下のような特徴を指摘している。
1. 話し言葉(音声言語)を適切に使うことが困難である。
2. ある事象を特異な自分なりの言い回しで表現する。
3. 助詞の誤用がある。
4. 話し言葉を適切に理解することが困難である。
5. 言語の理解に遅れが見られなくても、字面通り(文章のまま)の解釈をして想像力に乏しい。
6. ユーモアや冗談をなかなか理解できない。
7. 独特なイントネーションで話したり、不必要に大きな声でしゃべったりする。
8. 非言語的コミュニケーション(表情・ジェスチャー・態度・仕草を用いたコミュニケーション)の使用と理解がほとんどできない。
DSM-Wによるアスペルガー障害(アスペルガー症候群)の診断基準は以下のようになっている。
A:下記の項目のうち、少なくとも2項目以上当てはまる症状があること。
○社会性
・視線が合わない、視線が合いにくい、アイコンタクトが通じない、相手の表情や身振りを読み取れない。
・年齢に応じた人間関係が作れない。
・興味のある物を見せたり、持ってきたり、指差す行為が乏しい等、楽しみや興味を他者と共有しにくい。
・他人への関心が乏しい(特に同世代の子と一緒に遊べない)、関心はあっても関わり方が一方的である。
B:下記の項目のうち、少なくとも1項目以上当てはまる症状があること。
○想像力
・興味や関心が限定的で、一つの事にひどく執着する(こだわり行動・常同行動)。
・特定の習慣や儀式に固執する、些細な事でも予定に変更があるのをとても嫌う。
・常同行動(くるくる回る、手をヒラヒラさせたり指をねじ曲げる等、常同的で反復的な運動)がある。
・特定のものを持ったり、見たり、集めたりする事に、持続して熱中する。
C:学校や職場等で、明らかに不適応を起こしていること。
D:言語の遅れが無い(2歳までに単語、3歳までに二語文が出ている)こと。
E:社会性以外の発達に明らかな遅れが無いこと(但し運動面の発達に関しては多少遅延する場合もある)。
F:他の特定の広汎性発達障害や統合失調症の診断基準には当てはまらないこと。

