ハーフウェイハウス(halfway house)
精神病院で入院治療を受けることになった精神病患者が退院した後に、社会復帰や自立的生活を目標として一時的に居住する家(治療的・訓練的な目標を持つ住居)のことである。現実検討能力が低下する危険な急性期を抜け出して退院をしたものの、まだ自立的・安定的な生活を営めるほどには回復していない患者が、ハーフウェイハウスを利用することになるが、この精神保健福祉と関連する住居は、現在でいえば年齢基準のない『グループホーム』に近いものである。
日本でグループホームというと、認知症の高齢者が数人〜10人程度で集団生活を営んでいる高齢者福祉施設のイメージが強いのだが、グループホーム的な雰囲気を持つハーフウェイハウスは、年齢基準を設けていない精神疾患の患者たちが『社会復帰・自立的生活』を目指して協調的な集団生活を行っている。『ハーフウェイ(halfway)』というのは、半分の道のりという意味であるが、精神科・心療内科で急性期の治療を行って状態を安定させ退院するだけでは、患者たちは安定した社会生活へと戻っていくことはできない。
退院した精神病患者たちの家庭復帰・社会生活の再建を目的とする『ハーフウェイハウス(halfway house)』は、『精神科・心療内科』と『地域社会・職場・家庭』の中間地点にある相互扶助的な住居であり、自立的な生活や安定した家庭生活に向かって『残り半分の道のり』を歩いていくための支援や練習をする場所でもある。ハーフウェイハウスでは特別な医療や治療、訓練をするわけではないが、入院治療を受けて同じような境遇にあった精神病患者との相互扶助や語り合い、協調行動を通して、社会的自立を促進しやすくなるというメリットが指摘される。
ハーフウェイハウスにもさまざまな形態や種類があるが、一般的には数人〜10数人の小規模で集団生活を営む形態の住居(一般家庭と同じような家)であり、身の回りの世話をしてくれる住み込みの夫婦が寮長・寮母のような役割を果たしていたりして、『家庭的な雰囲気づくり・安心できる環境づくり』が重視されている。ハーフウェイハウスは『家庭的な安心できる空間』であるだけではなく『適応すべき現実社会(集団生活)の縮図』でもあるので、そこでの集団生活には一定の規律と役割が与えられており、ハウスミーティングやエンカウンター(グループセラピー)などを行いながら、それぞれが自分に割り振られた役割・仕事を果たしていく事が期待されている。