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2011年05月02日

[クルト・レヴィンの『場の理論(field theory)』]

クルト・レヴィンの『場の理論(field theory)』

ゲシュタルト心理学者のクルト・レヴィン(Kurt Lewin, 1890-1947)は、『接近‐接近・接近‐回避・回避‐回避』の葛藤(conflict)の類型論(3つのパターン)を提起したが、レヴィンは人間がある対象に接近したいと思うか回避したいと思うかの違いは、『誘発性(valence)』によって生まれると考えた。

ある対象や状況が人間を引きつけて接近させようとする時には『正の誘発性』が生じているのであり、反対にある対象や状況が人間を引き離して回避させようとする時には『負の誘発性』が生じているというわけである。そして、この誘発性が二重に矛盾する形で発生する場合に、人間はどちらにしようか、どう行動すれば良いのかと悩む『葛藤(conflict)』を感じる事になるのである。

K.レヴィンは、人間の行動形成を『主体である人の認知』『誘発性を持つ対象・相手・状況』との双方向の力学的な場として想定しており、この力学的な葛藤を伴う場に基づく人間行動の理論を『場の理論(field theory)』と呼んでいる。人間が特定の対象や相手に対して欲望(目的)を抱く時には、その欲望(目的)が簡単には達成できず、その実現を妨げる障害があることが少なからずある。そして、そういった状況下では、緊張感や欲求不満を伴う葛藤が高まりやすくなるが、人間は『欲望の充足・目標の達成=接近』か『欲望の断念・目標の引き下げ=回避』によって葛藤を解消して安定した平衡状態を回復しようとするのである。

『場の理論』で恋愛関係や就職活動にまつわる葛藤を説明すると、『好きな相手と付き合える・雇用待遇の良い企業に入社できる』といった喜びや利益が正の誘発性として働き、『話しかけても好きな相手から拒絶されるかもしれない・努力しても良い企業には入れないかもしれない』という不安や徒労感が負の誘発性として働くが、こういった『接近‐回避型の葛藤』ではあくまで初期の欲望を実現するか、傷つきを恐れ断念するかの判断を迫られることになる。目標としている対象や状況との時間的・空間的・心理的な距離が短くなればなるほど、決断を迫られることによる『緊張感・不安感・切迫感』が強まっていくことになるが、この傾向性のことを『目標勾配』という。

K.レヴィンの『場の理論』は、主体的な人間の認知・判断だけでは人間の行動が決まらず、目標とする対象や相手が持つ『正・負の誘発性』によって人間の行動は大きな影響を受けるという双方向性を説明しているのだが、この行動理論は『文脈や予測に応じた行動判断』の力学的なメカニズムを含んでいる。最終的には、自分の置かれている関係的・利害的な文脈に応じた行動を取りやすくなるということだが、それ以外にもどれくらいの不安や傷つきに耐える事ができるかという『ストレス耐性』によっても選択する行動の内容は変わってくるだろう。



posted by ESDV Words Labo at 11:48 | TrackBack(0) | く:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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