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2006年06月27日

[インセンティブ(incentive)と行動主義心理学]

インセンティブ(incentive)と行動主義心理学

人間がある行動を発現するか否かは、内発的動機付けである『モチベーション(motivation)』と外部的誘因である『インセンティブ(incentive)』の大小・強弱に大きく関係している。パヴロフやワトソン、スキナーなどの心理学者・生理学者を輩出した行動科学(行動主義心理学)分野には、人間の行動原理を説明する2大理論として『古典的条件付け(レスポンデント条件付け)』『オペラント条件付け(道具的条件付け)』とがある。

古典的条件付け(レスポンデント条件付け)とは、『パヴロフの犬の実験』で示される基本的な学習行動であり、生理学的な機序を持つ反射(唾液反射)が、ベルの音で条件付けされて条件反射になったものである。食欲や性欲、恐怖反応など生理学的な無条件反射と関係する行動に対してレスポンデント条件付けは成立する。この条件付けは、身体の生理反射を他の刺激と結合させて『般化(generalized)』させたものであり、パヴロフの犬の実験で用いた餌などはインセンティブ(行動発現の誘因)の役割を果たしている。

インセンティブ(incentive)とは、人間個体に喜び・満足・優越感・楽しみといった快の刺激を与える外部の誘因で、インセンティブを与えられた行動パターンは強化される。経済の雇用条件で、成果主義の歩合給の仕事を『インセンティブのある仕事』と表現することがあるが、これは良い業績や高い売上を上げれば上げるほど多くの報酬(インセンティブ)を与えて社員・アルバイトの労働意欲をかきたてようとする給与システムのことである。

インセンティブとは、快の刺激や経験を生み出す『報酬としての効果』を持つ対象であり、多くの人が相互的に影響を与え合っている人間社会では、金銭・異性・食物・地位・名声・友情・興奮などがインセンティブの効果を持っていて人々の行動(労働・飲食・恋愛・遊び)を強化している。

ソーンダイクの試行錯誤実験やスキナーのスキナー箱によって検証されたオペラント条件付けでは、特定の行動の頻度を上げる作用を持つ対象を『正の強化子』といい、この正の強化子はインセンティブとほぼ同じ意味合いを持っている。報酬・賞賛・快楽・評価などが『正の強化子』としての効果を持ち、罰則・非難・不快・苦痛などが特定の行動の頻度を下げる『負の強化子』としての効果を持っている。

モチベーションとは、自発的に『〜したい・〜が欲しい』と考える動因(欲求)とその対象となるインセンティブ(誘因)をつなぐ内発的な動機付けのプロセスである。自分の生理学的欠乏や物理的欲求、趣味内容、興味関心、自己実現の志向性などによりモチベーションは高まり、外部にある『自分が欲求する対象や行為としてのインセンティブ』によって特定の行動が発現して強化されることになる。



posted by ESDV Words Labo at 11:50 | TrackBack(0) | い:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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