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2011年05月19日

[カウンセリングの場面構成(structuring)]

カウンセリングの場面構成(structuring)

カウンセリングの『日時・実施方法・料金などの条件・目標目的』をあらかじめ設定することを、広義の場面構成という。来談者中心療法(クライエント中心療法)を創始したC.R.ロジャーズが、カウンセラーとクライエント(来談者)との間で、カウンセリングの基本条件や実施要綱について同意する話し合いを行ったのが『場面構成(structuring)』の始まりとされている。

カウンセリングなどの相談面接の初期に実施される『受理面接(インテーク面接)』で、この場面構成の説明と同意が行われることが多いが、ロジャーズはこの場面構成における納得感・安心感がラポール(相互的な信頼感)を促進する要因になると考えたようである。カウンセリングの場面構成を実施することによる利点としては、『カウンセリングの諸条件や実施手順についてクライエントの同意を得られること(不安を減らせること)』や『カウンセラーとクライアントの事前の話し合いや質疑応答によってラポールが形成されやすいこと』などを挙げることができる。

カウンセリング・心理療法といった調査的・治療的面接は、『構造化面接(structured interview)』『非構造化面接(anti-structured interview)』に分類されることがあるが、これは場面構成とは異なる概念である。『構造化面接』というのは、心理面接(心理アセスメント含む)を実施する具体的手順やクライアントに質問する項目、精神症状・問題事項に対するアプローチの仕方などが、事前に構造化されて決まっている面接のことをいう。

構造化面接ではどのセラピスト(カウンセラー)が実施しても同じような調査結果と治療効果を発揮しやすいように、『実施手順・質問項目(調査項目)・治療技法』などがマニュアル化されており、統計を用いた量的研究の事例として活用しやすいというメリットもある。非構造化面接というのは、実施手順や質問項目がマニュアル化されていない相談面接のことであり、カウンセラーとクライアントの自由な会話や雑多なテーマを通して面接が進展していく。非構造化面接のメリットは、決められた形式・項目に従いやすいのでクライアントが話したい話題やテーマを話しやすいということだが、そのデメリットは聞いておくべき質問を聞き忘れたり、エビデンスベースドな標準的療法を受けられないことがあるという事である。

カウンセリングの場面構成は、精神分析的療法や行動療法でも行われるが、精神分析的療法では『自由連想・夢分析・禁欲原則・カウンセラーの中立性(クライアントの鏡)』といった基本原則の遵守が重視されることがある。S.フロイトは精神分析の効果を最大限に発揮するためには、『無意識の意識化・言語化』を安定した心理状態で進められる治療同盟(作業同盟)を結ぶ必要があるとしたが、この治療同盟は現在ではインフォームド・コンセントやラポールに近い形で理解されている。視点を変えれば、カウンセリングの場面構成というのも、治療同盟・作業同盟を結ぶための説明責任の履行ということもでき、カウンセラーとクライアントの信頼関係やセッション(面接)の見通しを深めるために行うのである。



posted by ESDV Words Labo at 17:10 | TrackBack(0) | か:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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