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2006年07月04日

[家族療法など心理学的な介入(intervention)][精神保健福祉法に基づく精神医学的な危機介入(crisis intervention)]

心理学的な介入(intervention)・精神医学的な危機介入(crisis intervention)

心理臨床活動やカウンセリングで介入(intervention)という場合には、『危機介入(crisis intervention)』を意味する場合と『クライエントの生活場面への介入』を意味する場合とがある。自殺企図・希死念慮の亢進・(慢性化や悪化の経過を辿りやすい)精神病の発病期・他人に危害を加える恐れの強い精神状態など緊急性が高いと判断されるクライエントへの即時的な効果が期待されるカウンセリング対応を『危機介入』という。

危機介入の目的は、『予測される“最悪の事態”を緊急避難的に回避する心理学的介入を成功させること』であり、具体的には『自殺の実施・犯罪の遂行・他者への危害・精神病の重症化』という最悪の事態が起きないように適切な心理療法や支持的カウンセリングを実施することが心理学的な危機介入となっている。

精神医学的な危機介入の場合には、重症化(荒廃化)や慢性化という予後不良が懸念される統合失調症へのメジャー・トランキライザー(抗精神病薬)投与に限らず、根拠法(『精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)』)に基づいた『措置入院・医療保護入院』も危機介入に含まれる。

精神保健福祉法第29条に基づく『措置入院』とは、2人以上の指定医が診察した結果、その者が重篤な精神障害者であり、かつ、入院させなければその精神障害のために自身を傷つけまたは他人に害を及ぼす恐れ(自傷他害の恐れ)があるという判断で一致した場合に、都道府県知事が、国もしくは都道府県立の精神病院または指定病院に入院させることができる入院制度のことである。

精神保健福祉法第33条に基づく『医療保護入院』とは、指定医が診察した結果、精神障害者であると診断され入院の必要があると認められた者で、保護者の同意がある場合に、精神病院の管理者が患者本人の同意を得ずに精神病院に入院させることができる入院制度のことをいう。精神医学的な危機介入としての措置入院・医療保護入院は、本人の同意を得なくても精神病院に入院させることが出来る制度なので、この制度の濫用や悪用があれば直接的に患者の人権やプライバシーを侵害することにつながる。

その為、精神科医は十分に綿密で正確な精神障害の診断を行い、自傷他害と関連する現在の精神状態の適切な理解をしなければならないし、更に、『複数の精神科専門医の意見の一致』によって措置入院・医療保護入院の必要性が判断されなければならない。

家族システム論を前提とする家族療法による介入と家族療法の学派・技法の多様性

危機介入ではない心理学的介入に『クライエントの生活場面への介入』があるが、これはクライエントや家族(保護者)の同意を得て、カウンセリングや心理療法の効果を高める為にクライエントが日常生活を送っている環境や状況で一緒に時間を過ごして体験を共有してみることである。この種類の介入は、家族システム論を前提とする家族療法で行われることが多いが、それはその家族関係に特有のコミュニケーションや行動のパターンを生活実感を通して把握するためであり、悪循環の家族システムを形成する行動パターンを改善する手がかりを掴むためである。

家族療法の初期には、『精神医学は対人関係論である』と喝破したハリー・スタック・サリヴァンやフロイトの共同研究者で『社会的存在としての人間の相互作用(劣等性の補償や優越への意志)』を重視したアルフレッド・アドラー、統合失調症(当時の精神分裂病)の心理的原因として家族内部でのダブル・バインド理論を提起したグレゴリー・ベイトソンなどの研究者が画期的な研究を行ってその理論的発展に貢献しました。一般システム理論・サイバネティクス・オートポイエーシスなどのシステム論の知見を取り入れた家族システム論的な家族療法には多くの学派がある。

家族療法学派の代表的なものとしては、『グレゴリー・ベイトソンの心理学研究の流れを継承して戦略派のヘイリーなどを輩出したMRI(Mental Research Institute)グループ=コミュニケーション学派』『個人療法としての精神分析を家族療法の領域へと発展させたアッカーマンのグループ=精神力動的家族療法』『分化した人間関係と融合した人間関係の差異を強調して家族システム論の観点を持ち込んだボーエンのグループ=多世代派家族療法』『境界線・権力・提携という説明概念によって家族構造を把握して母子密着の構造を解体して親子の自立を促進するミニューチンのグループ=構造派家族療法』などがある。

スティーヴ・ド・シェイザー(Steve de Shazer,)インスー・キム・バーグ(I.K.Berg)らが創始した問題解決志向アプローチ(ソリューション・フォーカスト・アプローチ)も、家族療法の一亜流として分類されることもあるが、ここに挙げた以外にも家族システム論や家族療法の学派は更に増え続けていて、短期療法(ブリーフ・セラピー)と連合した家族療法などは個人療法よりも発展や開発の勢いがある状況である。



posted by ESDV Words Labo at 01:02 | TrackBack(0) | い:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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