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2011年06月16日

[ゲシュタルト療法の反転(reversal)とスプリット法]

ゲシュタルト療法の反転(reversal)とスプリット法

フリッツ・パールズとローラ・パールズの夫妻が開発したゲシュタルト療法(Gestalt therapy)では、実際にはそこにいない人や自分のもう一つの人格を想定した『ロールプレイング』が技法として重視されている。ゲシュタルト療法では、自分と自分が苦手だった父親を想像したロールプレイングを行ったり、自分と自分が憧れていた先生をイメージしたロールプレイングを行ったりするが、F.パールズが治療法として最も有効と考えていたロールプレイングは『対話ゲーム(スプリット法)』であると言われている。

『対話ゲーム』とは自分と自分に関係する誰かの対話、あるいは自分のパーソナリティの一部と他の部分との対話、自分に関係した他人同士の会話などを、イマジネーションを駆使してリアルに演技しながら再現するロールプレイングのことである。『スプリット法』というのは、ポジティブな私とネガティブな私、よく話す私と余り話せない私、攻撃的で批判的な自分と防衛的で相手に合わせてしまう自分など、“正反対・両極端な自分の性格傾向(特徴)”を二つ想像してから、その二つの特徴の間で対話をさせていくロールプレイングである。

ゲシュタルト療法の中心的な作用機序は『実際の体験(リアリティのある感覚)を通した気づき・自己理解』である。自分の内面にある2つの部分を対話させる“スプリット法”と自分の性格や価値観の特徴をわざとオーバーに表現してみせる“誇張法”を組み合わせたロールプレイを行うことで、自分のパーソナリティや問題状況、症状の原因となっている要因についての気づき(自己理解)を促進していくことができるのである。『自分が普段見せていない性格の一面』や『自分が苦手だと感じている相手』をイメージしながら対話法を実施していくことで、自分がどういったシチュエーションにおいて悩みやすいのか、どのような反応や返事をすることができれば精神的な抑圧を改善することができるのかが、実感として分かってくるというわけである。

F.パールズは外在化された症状や問題というのは、『抑圧された内的衝動・不満』の反転(reversal)であるという精神分析的な仮説を立てたが、『反転(reversal)』というのは自己の内面にある感情・衝動と外部にある行為・問題とがひっくり返って入れ替わるような精神事象のことを指している。自分の感情や考えをいつも抑圧して我慢しているようなクライアントに対しては、『誇張法』を用いて少し大袈裟なくらいにその感情・考えを表現することを求め、他人に非難・否定されることを過度に恐れているクライアントには、その非難に対する強い反論をするように求めた。

このように『いつもとは違う自分』をロールプレイで演じさせたり、『普段と正反対の性格傾向』で対話させたりすることで、『自己抑制・批判的な態度・ストレスに対する過敏性・非難に対する萎縮性(不安感)』など自分本来のパーソナリティ(性格構造)の傾向を自覚しやすくなり、更に問題状況や他者の言動に対してどのように対応すれば良いのか(精神的に落ち込まず前向きになれるのか)が分かってくるのである。ゲシュタルト療法では自己の内的な感情と外的な行為がひっくり返る『反転(reversal)』の現象を、リアリティを高めたロールプレイの対話(スプリットをイメージした対話)を通して理解しようとするのであり、その理解に基づいて自分の性格や考え方の短所・弱点を改善していくのである。



posted by ESDV Words Labo at 21:00 | TrackBack(0) | け:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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