ウェブとブログの検索

カスタム検索





2011年06月16日

[パワー・ポリティクス(power politics)と組織内のカウンセリング]

パワー・ポリティクス(power politics)と組織内のカウンセリング

パワー・ポリティクス(power politics)とは、権力争い・勢力争いによる政治という意味であるが、一定以上の人数がいる組織では不可避的に派閥集団が形成されて、影響力を競い合うパワー・ポリティクスの状況が生まれやすくなる。国家や社会、集団におけるパワーとは一般に『権力・権限』のことを指していることが多いが、実際の集団活動・組織運営の現場におけるパワーとは『勢力・数の多さ・影響力の強さ(貢献度の高さ)』のことを意味することが多い。

パワー(勢力・権力)という言葉からイメージされやすいのは『強制力・支配力』であるが、実際に集団関係で発揮されるパワーとは『個人間の依存関係』であり、パワーを持つ相手に依存して何らかの保護(恩恵)を受け取ることと、服従することとはほぼ同義である。社会学者のR.M.エマーソン(R.M.Emerson)は、AのBに対するパワーの行使は、BのAに対する依存度に等しいという定義で、集団内のパワーの働き方を考えている。

企業・省庁・病院・学校などの大規模で複雑な組織において、心理臨床活動(カウンセリング)やEAP(Employee Assistant Program, 従業員支援プログラム)、能力開発を実施しようとすれば、組織内にあるさまざまな部門・部署・職位・職種との間の利害調整を行わなければならない。そして、その利害調整には、部署間(個人間)の依存と対立が絡む『パワー・ポリティクス(勢力争い)』が必然的に関係してくるので、影響力のある部署や個人の意見を無視することは難しくなるのである。

巨大な組織内のパワー・ポリティクスで優位に立って影響力を行使しやすいのは、組織の脅威となる『不確実性(リスクファクター)』『業績低迷(組織の目的の阻害要因)』をコントロールできるような情報・知識・技術・経験・人脈を持っている部署(個人)であり、そういった強力なパワー(他者を依存させる力)を持っている部署(個人)と連携しながらカウンセリングやEAPを実践していかなければならないという事になる。

パワー・ポリティクスには権力争いや利権争いといった好ましくないイメージがつきやすいが、複数の人間が所属している組織や派閥においては、パワー・ポリティクスの結果としての『影響力の強弱』を無視した活動を取ることは原則として不可能に近いだろう。

posted by ESDV Words Labo at 21:07 | TrackBack(0) | は:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック