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2011年07月11日

[Ph.D.(Doctor of Philosophy)と博士号の学位]

Ph.D.(Doctor of Philosophy)と博士号の学位

Ph.D.(Doctor of Philosophy)とは、欧米の大学院教育が認定する博士号のことである。英語の直訳では『哲学博士号』となるが哲学科に限定した学位ではなく、物理学・生物学・化学などの理系分野の博士号や、哲学以外の文学・考古学・歴史学などの文系分野の学位も含んだ総合的な博士号の表記である。

英語圏の欧米の大学で授与される博士水準の学位をPh.D.と呼ぶが、英国ではPhDとピリオドを含まずに表記されることが多い。イギリスのオックスフォード大学、サセックス大学、ヨーク大学など、そしてドイツ語圏の大学では英語表記の略を用いて“D.Phil.”という表記がなされている。Ph.D.の日本語訳では、かつては『哲学博士』が広く用いられてきたが、文部科学省は『学術博士』という文理を含む学位の総合性を意味する訳語を用いている。

文科系の学科から理科系の学科まで含んだ博士号の学位であることを明確化するために、Ph.D.を『文理博士』と呼ぶケースも増えている。日本の大学院が認定している文学博士・理学博士・工学博士なども、欧米の学会やシンポジウムではPh.D.として表記されているが、医学博士はPh.D.と区別して“M.D.(Doctor of Medicine) ”と表記される。法科大学院を修了した法務博士もPh.D.ではなく“J.D.(Juris Doctor)”と呼ばれるが、Ph.D.は広義の教養・科学の学問分野に対して授与される博士号であり、医学・法学・工学・教育学のような専門職業系の学位とは区別されている。

ヨーロッパ諸国やアメリカの大学は、元々キリスト教の高度な神学・教義体系を教える学校として始まったが、近代以前の大学教育(特に世界初の大学とされるイタリアのボローニャ大学など)の初期には『神学・法学・医学・哲学』が伝統的な大学の学部として設置されていた。Ph.D.はその伝統的な四学部のうちで、司祭や法曹、医師など専門的職業と関係しないリベラルアーツ(真理探究の教養学部)の哲学科の学位として認定されるようになったのが始まりであり、真理追求に貢献する幅広い学問分野に対して授与される博士号になっていった。

フランスのパリ大学で使用されていたマスター(今の修士)とイタリアのボローニャ大学で使われていたドクター(今の博士)との間には、元々、階層的な上下関係は無かったのだが、近代に入るとドクターのほうがマスターよりも上位の学位として認識され始めるようになる。

近代大学教育は、国際的に『バチェラー(学士)・マスター(修士)・ドクター(博士)』の三位階制を取るようになったが、現在でも医学博士や法務博士、教育博士、工学博士など専門職業系の学位については、国・地域によってその単位認定や学位の呼び方に多少の違いがある。特にヨーロッパ諸国ではアメリカ・日本よりも実務系・技術系の博士号が認められにくいという特色がある。アメリカでは臨床心理学やカウンセリングの分野にもPh.D.の博士号が授与されているが、修士課程修了後に更に3〜5年以上の実務研修を伴う大学院教育を受けて、論文審査をパスしなければならないなど博士認定の基準は厳しくなっている。



ラベル:大学 博士 学位 学歴
posted by ESDV Words Labo at 15:57 | TrackBack(0) | ひ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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