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2011年07月27日

[被虐待児症候群(battered child syndrome)とアダルトチルドレン]

被虐待児症候群(battered child syndrome)とアダルトチルドレン

被虐待児症候群(battered child syndrome)というのは、親や養育者から虐待を受けた子どもに見られる肉体的な傷つきや精神的な障害の総称であり、まだ児童虐待という概念や問題が一般化していない1960年代に考案された用語である。1950年代までは、『児童福祉・子どもの人権・親教育』といった子どもの健康と安全を守る概念・取り組みは未発達であり、親が子どもを殴ったり家から閉め出したり、育児の怠慢をすることは『しつけ・体罰・親権の一部』と見なされて問題にされない事のほうが多かった。

しかし、骨折や打撲をして病院で治療を受ける子ども達の中に、偶然的な事故や怪我として片付けるのが難しい症例が含まれていることに、アメリカの小児科医C.ケンプ(C.Kempe)が気づき、親・養育者の暴力によって生じた身体的あるいは精神的な傷つきをまとめて、1961年に『被虐待児症候群(battered child syndrome)』という概念を提示したのである。被虐待児症候群は、現代でいう『児童虐待・ネグレクトの問題』を示唆するものであるが、それ以外にも虐待を受けていた子どもが発症しやすい性格行動パターンの問題やトラウマティックな記憶による悪影響を含んでいる。

親・養育者から虐待を受けていた子どもは、その後に成長するにつれて従って、以下のような問題や精神症状、性格傾向の偏りが生まれてくることがある。

1.親(母親)との間に“基本的信頼感”を形成することができないため、他人を信用することが難しくなり、人間関係を上手く築けなくなってしまう(=人間関係の難しさ・相互的な信頼感の欠如)。

2.自分の存在や能力が否定されていると思い込んで、自分の存在や行動に自信が持てなくなり、自己評価(自尊心)が大きく下がってしまう(=自尊心の欠如・自己評価の低下)。

3.家庭内で安心感を感じたり楽しく笑ったりすることがないため、物事に対する意欲が低下したり、人生を素直に楽しもうとする明るさが無くなってしまう(=興味と喜びの喪失・無気力感)。

4.絶えず不安感や恐怖感、孤立感を感じながら生活しているので、気持ちが落ち込んで憂鬱になりやすく、情緒不安定になったり自己防衛のために暴力的になってしまうこともある(=うつ病リスク・情緒不安定によるトラブル)。

5.親から自分の可能性や能力、将来の夢について否定されながら育つので、『自分の人生の将来・夢』についての興味関心がなくなってしまい、自分の将来への希望を感じにくくなる(=学習性無力感)。

子どもに虐待をしてしまう親自身も、親からの愛情や保護、教育を十分に受けられなかった人が多く、『子育てのロールモデル(どのような子育てをすべきかのモデル)』についても、体罰をしなければ子どもは悪いことをする(善悪を学べない)とか、子どもへの愛情表現の方法が分からない(いつも無愛想になりイライラしてしまう)とかいった問題が見られることが多い。『虐待の世代間連鎖』は統計的に実証されたとまでは言えないが、親から虐待を受けていた人や冷淡な対応をされてきた人のほうが、自分の子どもに愛情や優しさを注ぎにくくなり、自分の親と同じような『虐待的・暴力的な教育方法』を取ってしまう傾向性が見られる。

虐待をする親には、『ストレス耐性の低さ・自己中心性』『経済生活の困窮・子育てをバックアップしてくれる地域社会(人間関係)からの孤立』などの問題が見られることが多く、虐待防止の対策を講じるためには、親世代の育児教育・家庭訪問や雇用確保、生活支援(子育て支援)、ストレス緩和などの総合的な対応策をしていく必要があるだろう。

家族で衣食住が足りた生活ができて、子育てをしていくための経済基盤や雇用状況をきちんと整えることがまず第一である。その上で、『どのような子育てやしつけをすれば子どもの心身の成長に良いのか・子どもを叱る時にはどういった叱り方をすべきか・子どもに愛情や優しさ、安心を注ぐための方法にはどんなものがあるか・どんな行為が虐待に当てはまるのか』といった子どもがいる親への“育児教育の充実・定期的な家庭訪問”を実現していかなければならないだろう。

被虐待児症候群は、現在では『身体的虐待・精神的虐待(モラルハラスメント)・性的虐待(性被害)・ネグレクト(養育放棄)・アダルトチルドレン(機能不全家族で成長した人に発生してくる諸問題)』などの項目に分類することが可能である。

posted by ESDV Words Labo at 22:23 | TrackBack(0) | ひ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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