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2011年07月27日

[交流分析のひきこもり(withdrawal)]

交流分析のひきこもり(withdrawal)

誰もが使いやすい『精神分析の口語版』と言われる交流分析(Transactional Analysis)は、アメリカの精神科医エリック・バーン(1910-1970)によって開発され、その後にジョン・デュセイ(J.M.Dusay)が自我状態のバランスをチェックする性格テストのエゴグラム(egogram)を作成した。交流分析というと性格構造や双方向のコミュニケーションを分析するために、『CP(批判的な親)・NP(擁護的な親)・A(大人)・FC(自由な子ども)・AC(適応的な子ども)』の5つの自我状態を仮定してそのバランスを確認するエゴグラムが良く知られているが、時間をどのようにして過ごすのかを規定する『時間の構造化』も重要なものになっている。

交流分析の理論・技法は、『構造分析(エゴグラム,時間の構造化)・やり取り分析(交流分析)・ゲーム分析・脚本分析』の4つの領域に分類することができる。『エゴグラム』は、自我状態の強さと弱さのバランスから個人の性格構造を分析する性格テストであり、『やり取り分析』は、自己と他者との間で交わされるメッセージや態度・行動を自我状態の概念を用いて分析するものである。『ゲーム分析』は、他者の行動や感情をコントロールしようとする意図を持つコミュニケーションをゲームと定義して、お互いが不快な気持ちになりやすく相手に嫌悪を持ちやすいゲームを減らすための方法を考えるものである。『脚本分析』は、自分の人生のおおまかな内容や展開を規定する脚本を検討して、非適応的で自分を落ち込ませる“悲観的な脚本”をより良いものへ書き換えていこうとするものである。

『時間の構造化』とは、自分の時間をどのような活動やコミュニケーションに費やしているかを確認する技法であり、時間の使い方の種類として『儀式・ひきこもり(自閉)・娯楽・親密・仕事・ゲーム』がある。儀式(ritual)とは、毎日のあいさつのように慣習的・形式的に決まりきった言語(態度・表情)をやり取りすることで、お互いに肯定的なストロークを得ようとするものであり、余り親しくない人に対しても有効で無難な時間の構造化である。ただし、儀式の段階でコミュニケーションが抑制されてしまうと、『あいさつ・会釈・天気の話』などに終始して相手の内面・プライベートに関する話題にはならないので、親密な人間関係を形成するためには『娯楽・仕事(活動)』などのコミュニケーションを取ることも必要になってくる。

時間の構造化における『ひきこもり・自閉(withdrawal)』とは、他者との人間関係やコミュニケーションから遠ざかって一人で過ごすことであり、社会的な活動領域(仕事・地域社会)から身を遠ざけてストレス・不快事態を減らそうとする自己防衛的な行動である。ひきこもりの類型には、身体的・物理的に他者から遠ざかって関係を持たない類型だけではなく、精神的・意識的に他者とのコミュニケーションを回避してできるだけ相手との会話をしないようにするなどの累計もある。

他者との人間関係における精神的ストレスや心の傷つき、面倒な状況を回避するために『ひきこもり・自閉』の時間の構造化をする人が多いが、自分の内面を見つめなおして自己変革を進めたり、リラクセーションを行って心的エネルギーを充電したりといったポジティブな側面もある。精神的なトラウマの影響や対人恐怖症(社交不安障害)があり、他者との接触・やり取りに対する不安感や抵抗感が強いために、ひきこもりの時間の構造化をしてしまうというケースもある。ひきこもりによる時間の構造化が増えると、他者とのコミュニケーションの機会が極端に減ってしまい、社会適応性(職業適応)が低下しやすいという問題も指摘される。



posted by ESDV Words Labo at 22:25 | TrackBack(0) | こ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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