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2011年08月05日

[ピグマリオン効果(pygmalion effect)]

ピグマリオン効果(pygmalion effect)

1964年にアメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタール(R.Rosenthal)が提起した学習効果が『ピグマリオン効果(pygmalion effect)』である。教師がその生徒にどのくらい期待しているのかによって、生徒の学習成績が影響を受けることをピグマリオン効果と呼ぶ。提唱者の名前を取ってローゼンタール効果と言われることもあるが、ピグマリオン効果とは教師が生徒の能力を認めて期待すればするほど、その学習成績が上がりやすくなるという効果のことである。

教師が生徒の潜在的な能力を評価して、期待を大きくすればするほど、学習成績が向上しやすくなるという事から『教師期待効果』と呼ばれることもあるが、反対に教師がその生徒の能力・可能性を評価せずに何の期待もしなければ、学習成績も落ち込みやすくなる。教師が生徒に期待せずに成績が落ちる効果のことを『ゴーレム効果』と呼ぶ。ピグマリオン効果がなぜ生まれるのかの心理メカニズムは詳細には明らかにされていないが、教師と生徒との間に一定の信頼関係が成り立っていないと効果が出にくいことから、教師が自分の能力を信じて期待を掛けてくれることが、『自己評価の向上・学習意欲の増進・不安感の軽減』に役立っていると推測されている。

教師・先生から『お前ならきっとできる・勉強すれば良い成績を取れるはず』という信頼や期待を寄せられることで、勉強に対する意欲が普段よりも引き上げられて、自分ならできるという自己効力感(セルフエフィカシー)も高まっていると考えることができる。ピグマリオンという名前は、ギリシャ神話を題材にとって書かれた古代ローマのオウィディウス『変身物語 第10巻』のエピソードにちなんだものである。ピグマリオン王がある女性をかたどった彫像を好きになってしまい、その彫像が実際の人間(女性)になったらいいのにと思っていたところ、その願いを聞いたアフロディテの神が彫像を人間に変身させてしまったのである。ピグマリオンの『女性の彫像を人間化して欲しい』という願望と期待が、実際に現実になったというところに由来している。

1963年に、ローゼンタールとフォードが大学で心理学実験を行い、学生たちにネズミを使った迷路実験をさせたが、ネズミを渡す時に一方は『よく訓練されている賢い系統のネズミ』、もう一方は『訓練されていない愚鈍な系統のネズミ』といって渡して迷路実験をさせた。すると、賢い系統といって渡したネズミのほうが愚かな系統といって渡したネズミよりも、迷路実験をクリアできる成績が良くなったのである。元々は同じネズミに過ぎないのに、片方だけを訓練された賢いネズミだと言って渡すことで、学生に『このネズミは賢くて良い成績を出せるネズミ』という期待が生まれ、ネズミの取扱いが丁寧になったことでネズミの情緒が落ち着いて成績が良くなったと考えられている。

1964年には、ローゼンタールはサンフランシスコの小学校で『ハーバード式突発性学習能力予測テスト』と名づけた一般的な知能テストを行って、学級担任にその結果を『今後数ヶ月間で成績が伸びてくる生徒のリスト(実際には無作為抽出した生徒で知能テストの結果とは何の関係もないリスト)』として渡した。すると、『今後数ヶ月で成績が伸びてくる生徒のリスト』に入れられている生徒に対して、教師がそれまで以上の期待と教育熱を持つようになり、結果として期待されたその生徒たちは本当にテストの成績が向上したのである。

ローゼンタールの実験でピグマリオン効果が確認された一方で、スピッツが実施した同種の実験では期待された生徒の成績向上が見られなかったなど、『ピグマリオン効果の再現性・実証的根拠』については多くの疑問や批判も寄せられている。

posted by ESDV Words Labo at 10:30 | TrackBack(0) | ひ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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