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2011年08月05日

[非行問題の文化的感染(acculturation in delinquency)]

非行問題の文化的感染(acculturation in delinquency)

小学校高学年から高校生くらいまでの思春期の発達段階で起こりやすい問題として『非行(delinquency)』がある。“非行”とは思春期の青少年が、反社会的・暴力的な行為をしたり、教師・親のまっとうな指導に暴力暴言で反抗したりすることを意味することが多いが、少年犯罪のように明らかに法律に違反する行為もそこに含まれる。非行は不良少年やヤンキーに分類される学校適応の悪い青少年と結びつけて考えられる事が多いが、日常の学校生活では問題のない生徒が“窃盗・いじめ・薬物(麻薬)”などの非行行為に走ってしまうこともある。

現代の都市部の青少年には、1980〜1990年代まで多く見られたような『分かりやすい不良・ヤンキー・暴走族』が大幅に減っているとも言われ、髪を染めて制服を改造したり校内外で喫煙・飲酒をしたり他校の生徒と喧嘩をしたりするような非行行為は減少傾向を示している。学校の指導方針や親の教育に暴力的な反抗を示す思春期の“第二次反抗期”が余り見られなくなり、どちらかというと既存の学校生活や社会環境、大人の指導に過剰適応してしまいストレスを溜め込んでしまう問題が増えている。

いかにも不良・ヤンキーといった外見をした生徒が、暴力を振るったり犯罪を犯したりタバコを吸ったりするというのが非行行為の典型であるが、近年は外見上は普通に見える生徒が過剰適応やメンタルヘルス悪化の反動として“窃盗・喫煙・援助交際・ドラッグ”の非行行為をしてしまう事例も多い。青少年の非行の実態は、警察庁がまとめている少年犯罪・補導の統計的データや学校教育の現場で先生が直面している非行の事例によって知ることができる。

少年法の規定に基づいて法律的に非行少年を定義する時には、『犯罪少年・触法少年・虞犯少年(ぐはんしょうねん)』の3つの類型が非行少年に当てはまることになる。“犯罪少年”とは、刑法など刑罰に関する法令に違反した20歳未満の少年のことであり、“触法少年”とは、刑罰に関連する法令に違反した14歳未満の少年のことである。“虞犯少年”とは、反社会的組織・仲間に参加していたり(親が悪いことをしていても放任していたり)、過去に何度か犯罪類似行為で補導されているなど、指導せずに放置すると犯罪を犯してしまう可能性が高い少年のことである。

青少年が非行をしてしまう原因については、『家庭環境の要因・友人関係の要因・学校不適応の要因・大人社会への不信や反発』などを考えることができるが、S.フロイトやW.ヒーリーなどの精神分析学派(力動的精神医学)では非行の主要な原因として、『情動的・発達的な不適応(本能的欲求の抑圧・ストレスの蓄積・孤独感や疎外感)』を上げている。社会心理学や犯罪心理学では、非行の原因を個人の心理的・情緒的要因だけに求めるのではなく、『集団力学(グループダイナミクス)・文化的感染』に求めている。

非行問題が発生する原因として社会心理学で考えられている“文化的感染(acculturation in delinquency)”とは、所属する学校集団・仲間集団の内部に『非行・犯罪・暴力を肯定視するような規範性や価値観』が浸透していて、その非行文化を周囲が学習することで感染が広がっていくというものである。非行の原因論としての文化的感染とは非行の環境的要因を重視する考え方であり、簡単に言えば『類は友を呼ぶ・朱に交われば赤くなる・周りに染まる』といった集団力学を説明する概念であり、学校で非行・不良の文化がカッコいいものとして流行していたりすると、それだけ非行問題が発生するリスクは高くなりやすいのである。



posted by ESDV Words Labo at 10:35 | TrackBack(0) | ひ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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