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2011年08月05日

[ヒステリーとヒステリー性格(hysterical character)]

ヒステリーとヒステリー性格(hysterical character)

S.フロイトの精神分析が主要な治療・研究の対象としたのが、神経症の一種であるヒステリーである。ヒステリー(hysteria)の語源は古代ギリシアの“子宮(hystera)”を意味する言葉にあり、かつては子宮の移動やホルモン分泌異常によって発症する『女性疾患(婦人病)』と考えられていた時代もある。もちろん、ヒステリーは女性だけが発症する病気ではなく、男性も同等に発症する精神疾患であるが、その具体的症状が余りに多様で掴みどころがないため、現代の精神医学の病名でヒステリーが用いられることは無くなっている。

女性が感情的に興奮して取り乱したり、自分の情緒や行動が制御困難になって暴れることを、日常的な用語としてヒステリーと呼ぶこともあるが、これは精神医学的な概念ではない。ヒステリーとは『精神的原因によって身体症状が発生する病気の総称』であり、その精神的原因として想定されるものには、ストレスの蓄積や無意識的葛藤の苦悩、本能的欲求の抑圧などがある。ヒステリーで発症する代表的な身体症状には、『運動麻痺(手足の麻痺)・知覚機能の障害・けいれん・失神(意識障害)や失声・心因性失明』などがあるが、身体症状だけでなく心因性健忘・不安感・強迫観念・情緒不安定などの精神症状を示すこともある。

心理的要因によって発症する身体症状であるヒステリーは、現代の精神医学の疾病概念では『転換性障害・身体表現性障害・解離性障害(離人症性障害)・抑うつ反応・ストレス反応』などに分類されることになるが、特に手足の麻痺や知覚障害などの身体症状が目立つヒステリーは、転換性障害や身体表現性障害として理解することが可能である。ヒステリーの各種症状を形成する自我防衛機制として、自分が認めたくない感情・欲求を身体症状に変えて気づかないようにする『転換・否認』がある。

精神分析ではヒステリーになりやすい人の性格類型として、男根期(エディプス期)にリビドーが退行・固着してしまう『ヒステリー性格(hysterical character)』を定義しており、その特徴は幼児的・自己中心的・操作的で他人の感情に配慮した言動をすることができないというもので、自己愛の過剰な強さがある。ヒステリー性格は現代の精神病理学の分類では、自己愛性パーソナリティ障害や演技性パーソナリティ障害、境界性パーソナリティ障害といった『クラスターBの人格障害(パーソナリティ障害)』に当てはまる要素を多く持っている。ヒステリー性格の代表的な性格特徴としては、以下のようなものがある。

自己中心性と他者配慮の弱さ

自己顕示性と承認欲求の過剰

幼児性と未熟性(依存性)

演技性・操作性と大袈裟な言動

催眠感受性(被暗示性)の高さ

プライド(自尊心)の高さと傷つきやすさ

ヒステリーの心理療法では、クライアントが抑圧している無意識的葛藤や感情を意識化(言語化)していくことが重要であり、自分の抱えるフラストレーション(欲求不満)に耐えるだけの自我を強化して現実適応力を高めることが目標となる。自分の抱えている無意識的な葛藤・感情の抑圧から目を背けて、『転換・否認』の自我防衛機制に頼ってしまうと、心理的な苦悩が身体症状に置き換えられやすくなるので、『自分の感情・欲求』にまっすぐに向き合って建設的な対処法を考えることが必要になってくる。

posted by ESDV Words Labo at 10:38 | TrackBack(0) | ひ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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