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2011年08月18日

[非定型精神病(atypical psychosis)]

非定型精神病(atypical psychosis)

定型的な精神病とは、ドイツの精神科医エミール・クレペリン(E.Kraepelin, 1856-1926)の作成した精神医学の教科書で、二大内因性精神病とされる『統合失調症・気分障害(双極性障害・躁鬱病)』のことである。統合失調症と双極性障害(躁鬱病)の発症原因は特定困難であり、身体的(脳機能的)・遺伝的な要因が関係した『内因性精神病』と定義されているが、統合失調症と双極性障害はそれぞれ『陽性症状・陰性症状』『躁病相・うつ病相』という定型的な症状を持っていてDSM−Wなどのマニュアル診断が可能である。

統合失調症における陽性症状とは、正常な精神状態の人には見られない“病的・特異的な精神現象”が出現する症状であり、具体的には『幻覚・妄想・興奮錯乱・昏迷』などの症状のことを意味している。陰性症状とは、正常な精神状態の人が持っている“思考・感情・対人関係の適応機能”を喪失する症状であり、具体的には『自閉(ひきこもり)・無為(無気力)・感情鈍麻・思考と発話の貧困・アンヘドニア(失快楽症)・意欲喪失』などの症状のことを指している。統合失調症の幻覚や妄想の内容などは多種多様で、感情が平板化したり何もやる気がなくなったり対人関係に関心が無くなったりする“精神運動制止”の陰性症状と結びつくこともあるが、定型的症状は陽性症状と陰性症状の二元論で理解することが可能である。

双極性障害(躁鬱病)では、気分が高揚して爽快感・自己評価が異常に高まり冷静な判断ができなくなる『躁病相』と気分が落ち込んで抑うつ感・自己否定感が異常に高まり希死念慮が生じてくる『うつ病相』とを周期的に繰り返すが、どちらの病相がどれくらい長く続くのか、躁病・うつ病の重症度がどれくらいなのかにはかなり大きな個人差が見られる。

近年では、典型的な躁鬱病やうつ病の気分障害の症状・特徴・病前性格に当てはまらない、仕事の状況やストレスが強い時にだけストレス反応性・拒絶過敏性のうつ病症状が出る『非定型うつ病・新型うつ病』が問題になってきている。定型的なうつ病では『睡眠障害(不眠症)・食欲不振・性欲低下・慢性的な疲労感』が見られるが、非定型うつ病では『過眠症・過食症・性欲亢進・自分の好きな事に対する意欲』の症状が見られやすくなる。

非定型精神病(atypical psychosis)とは、統合失調症と気分障害(双極性障害)のどちらの典型症状にも当てはまらない精神病であったり、両者の病態の特徴や不適応の問題が混じったような状態を呈する精神病のことである。かつて英米圏の精神医学では、統合失調症と気分障害の症状が合わさった精神疾患のことを『統合失調感情障害(分裂情動精神病)』と呼んでいた時期があったが、最近ではこの病名が診断名として用いられることは少なくなっている。現在の精神医学では、以下のような非定型精神病の診断基準が提唱されている。

A:精神的に健康な状態から、突然、精神病症状(B症状)が発現し、顕在化(診断基準に該当すること)まで2週間以内であること

なおB症状の発現前に前駆症状(不眠、不安)が出現することがある

B:次の3つの項目のうち少なくとも2つの症状が同時に起こること

1.情緒的混乱

2.困惑および記憶の錯乱

3.緊張病性症状または幻覚・妄想

C:障害のエピソードの持続期間は、三ヶ月未満で、最終的には病前の機能レベルまでおよそ回復すること。

三ヶ月後に診断確定となるが、それまでは疑いとする

D:物質または一般身体疾患の直接的な生理学的作用による障害は除外とする。

診断基準に上げられている『緊張病性症状』というのは、緊張型統合失調症(Catatonia schizophrenia)の症状と共通するもので以下のような症状が見られる。

1.カタレプシーまたは昏迷として示される無動症

2.過度の運動活動性

3.極度の拒絶症あるいは無言症

4.常同姿勢、常同運動、顕著な衒奇症やしかめ面などとして示される自発運動(不随意運動)の奇妙さ

5.反響言語または反響動作

posted by ESDV Words Labo at 16:15 | TrackBack(0) | ひ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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