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2011年09月07日

[ヒューマニスティック心理学・人間性心理学(humanistic psychology)]

ヒューマニスティック心理学(humanistic psychology)

20世紀の心理学の歴史を展望したアブラハム・マズロー(Abraham Maslow, 1908-1970)は、行動主義心理学を心理学の第一勢力、精神分析を第二勢力として配置し、自らのヒューマニスティック心理学(人間性心理学)を第三勢力として位置づけた。自己実現や自己成長、至高体験を目的とするヒューマニスティック心理学(人間性心理学)に分類される心理学者には、クライエント中心療法を創始したカール・ロジャーズと欲求階層説を提唱したアブラハム・マズローがいる。

1960年代に隆盛したこのヒューマニスティック心理学派の最大の特徴は、“科学的客観性・実証性”よりも“人間らしさ・人間の幸福と成長”を重視したという事である。人間の心理・行動のメカニズムを実験的に解明することよりも、人間らしい幸福や自己実現を追求したヒューマニスティック心理学は、行動主義(ワトソン,スキナーら)と精神分析(フロイト,ユングら)を以下のような観点から厳しく批判し、個性的で主体的な人間独自の存在や可能性の考察に集中する『心理学の第三勢力』を形成したのである。

行動主義心理学(行動科学)に対する批判……客観的に観察可能な行動だけを対象とする行動主義では、『機械論的な行動のメカニズム』を解明できても『人間らしい心理・感情・自己実現の本質(人間性そのもの)』を探究することができず、人間の幸福や希望、可能性に対する貢献は非常に小さなものとなる。

精神分析に対する批判……神経症の治療技法として発展した精神分析の人間観は『ネガティブな側面』に偏っており、成長・発展・健康を志向する人間本来の『実現傾向』を捉え損なっているので、一般的な人間心理の解明には余り役立たない。無意識的願望の充足や抑圧に関する『無意識の決定論・夢分析の理論』では、人間の意識領域で生成変化する幸福や喜び、不幸や苦悩を十分に説明したり制御したりすることが難しい。

神経学者のゴルトシュタインが提唱した『自己実現(self-actualization)』の概念をより洗練させたA.マズローは、『自分のなりえるものにならねばならないという人間固有の高次な欲求・自我を超えた高次の次元の目標や理想を実現しようとする志向的欲求』として自己実現を定義し直した。ヒューマニスティック心理学では、空腹だから食事をするといった欲求不満によって受動的に何かをしようとする『欠乏動機(deficiency motivation)』ではなくて、自発的な成長・学習・感動を目指して能動的に何かをしようとする『存在動機(being motivation)』が自己実現を促進すると考えていた。

ヒューマニスティック心理学の基本的人間観には、『人間を独自の主体性と可能性を持つ独自な個人として考える』『潜在的な可能性・能力を発展させようとする自己実現欲求を持つ』『客観的な人間の行動よりも主観的な心理的(内的)な体験や本人にとっての意味を重視する』『個人と社会・文化・歴史との文脈的な関わり合いを考察する』といったことがある。A.マズローは晩年にヒューマニスティック心理学に続く『心理学の第四勢力』として、個人や自我の枠組みを超えた普遍的で超越的なトランスパーソナル心理学を構想していたが、目に見えない精神世界を更に宇宙・超越体験・神秘主義・宗教性(霊性)にまで拡張したため、哲学思想としての価値はあったが、科学的・学問的な価値がアカデミズムで認められる事は無かった。



posted by ESDV Words Labo at 11:06 | TrackBack(0) | ひ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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