老人介護の問題と介護保険に基づく要介護認定
日本は急速な少子高齢化社会を迎えようとしており、国家財政的に公的年金制度や健康保険制度の継続維持が困難になる問題を抱えているだけでなく、生活習慣病などによる医療費増大や家族による老齢者の介護の問題が深刻化している。2006年現在で、65〜74歳の前期高齢者と75歳以上の後期高齢者を合わせて約2,800万人以上の高齢者が生活しており、日本の総人口の20%以上を占めている。
高齢化社会の到来による『要介護者の増加』に対処するために介護保険制度が整備されたが、介護保険を利用する為には保健婦やケースワーカー(福祉士)の訪問調査を受け、更に二段階の要介護認定にパスしなければならず、介護の必要があってもなかなか簡単には介護サービスを受けられないという厳しい現状がある。時折ニュース報道される老人夫婦の介護疲れによる無理心中や老親の終わりのない介護に絶望した中高年の子の自殺などは、現在の介護保険制度の問題と国家の老人福祉予算の制限を直接的に示すものであると言えよう。
ホームヘルパーに介護を手伝ってもらうにしても1割は自己負担しなければならず、要介護認定のランクが低ければ介護給付の金額が少ない為に、老人擁護施設や専門の介護施設に預けるケアプランを立てることが難しい。要介護認定によって認定される要介護度には、要支援から要介護1〜5までのランクがあり、要支援の場合には食事・排泄・衣服の着脱といった身辺自立は出来ているが時折社会的な支援やケアが必要とされる。専門的援助の必要度や介護給付の金額は、要介護度1から5へと段階的に上がっていく。
要介護度4以上になると、食事・衣服着脱・トイレの身辺自立が全く出来なくなり、自分の排泄の意志を伝達することも困難な心身状態であり、全面的な介護及びケアを必要とする重篤な心身の障害を持っていると見なされる。各要介護度による心身状態の内容は以下の通りである。
1.要支援……食事・排泄・衣服の着脱といった身辺自立は出来ているが、軽度の記憶障害や運動機能の低下、ASL(社会生活行動)の能力低下などが見られ、時折、社会的援助や介護者の観察が必要な状態である。
2.要介護1……食事・排泄・衣服の着脱といった身辺自立は概ね出来ているが、身辺自立に関する一部に障害があり社会的支援や介護者の介助を必要とする状態。
3.要介護2……食事・排泄・衣服の着脱といった身辺自立は概ね出来ているが、排泄行為にやや不便を感じトイレを終えるまでに若干の介助や補助が必要な状態である。中程度の介護を必要とするレベルである。
4.要介護3……食事・排泄・衣服の着脱といった身辺自立が殆どできず、食事や衣服の着脱には介護者の介助が必要であり、排泄に関しては全面的介護を必要とする状態である。重度の介護を必要とするレベルである。
5.要介護4……食事・排泄・衣服の着脱といった身辺自立が全く出来ない状態で、完全な寝たきりの身体障害にまでは至らないが、明確な意志伝達を行うことがほぼ不可能で、身辺自立のための全面的な介護と看護を必要とする状態である。最重度の介護を必要とするレベルである。
6.要介護5……食事・排泄・衣服の着脱といった身辺自立が全く出来ない状態で、寝返りを打つことさえできない完全な寝たきりの身体障害を持っている。身辺自立のための全面的介護と献身的看護を必要とする極めて深刻な要介護の状態である。過酷な介護を必要とするレベルである。

