肥満(obesity)と健康1:メタボリックシンドロームと単純性肥満
体の脂肪が平均以上に蓄積している状態を『肥満(obesity)』といい、肥満は“血液(高脂血,高血糖)・血管(血圧,動脈硬化)・循環器・脳卒中”などに関係する生活習慣病のリスクファクター(危険因子)と考えられている。人間の体内にある全ての動物性脂肪を総称して『体脂肪』というが、ある程度の量の体脂肪は人間の健康と美容を保つために必要なものである。
脂肪細胞の中に蓄えられて非常時のエネルギー源となる脂肪分のことを、酸性でもアルカリ性でもないという意味で『中性脂肪(トリグリセリド)』という。中性脂肪は脂肪酸とグリセリンという物質が結合して出来た脂肪であり、エネルギーを貯蔵する役割を果たしているが、体内にはコレステロールやリン脂質といった脂肪分も蓄積されている。
体脂肪には、皮膚の直下に蓄積して指でつまむこともできる『皮下脂肪』と内臓の周囲や腸間膜に付着して蓄積していく『内臓脂肪』があるが、皮下脂肪のほうが習慣的な運動によって減らしやすいとされている。
『食べ過ぎ・運動不足』などによってエネルギー量に余剰が生まれてくると、内蔵の周囲や小腸近くの腸間膜に中性脂肪が付着していく事になるが、内臓脂肪が過剰について腹囲が太くなった状態を内臓脂肪症候群(内臓脂肪型肥満)という。この内臓脂肪型肥満に『高血糖・高血圧・高脂血症』のうち2つ以上が合併した病的状態を、『メタボリックシンドローム(代謝症候群)』と呼んでいるが、自覚症状のない生活習慣病のリスクファクターとして健康指導の対象になっている。
メタボリックシンドロームの主要な予防対象は、心筋梗塞や脳梗塞(脳血管性障害)など致命的疾患の原因となる『動脈硬化の発生・進行の防止』であり、食事療法による『摂取カロリーの減少・適正化』と脂肪燃焼を促して痩せるための運動療法が治療の中心になっている。特に中性脂肪が代謝されにくくなる中高年層で、メタボリックシンドロームが重要な予防医学上の課題になってきている。
肥満の原因を大まかに分けると、『遺伝素因・食習慣(食べ過ぎ,脂肪や糖分の過剰摂取)・運動習慣(運動不足)』になる。肥満のうち、不規則な生活や過食・運動不足など生活習慣の問題が原因になって起こる肥満のことを『単純性肥満』といい、遺伝素因や各種の病気・疾患に随伴して生じる肥満のことを『症候性肥満』という。肥満が重症化して呼吸がしづらくなり、自力で歩行もしづらくなるような状態を特に『病的肥満』と診断して、胃の入り口にリングを取り付けたり脂肪吸引したりなどの外科手術の適用になることもある。

