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2011年09月23日

[肥満(obesity)と健康4:生活習慣病のリスクファクターとしての肥満とその心理的影響]

肥満(obesity)と健康4:生活習慣病のリスクファクターとしての肥満とその心理的影響

この記事は、[肥満(obesity)と健康3:BMIを用いた肥満度の測定とBMIの特徴]の続きの内容となっています。 肥満は『飽食・過食』になりやすい先進国では、生活習慣病(成人病)をはじめとする多種多様なリスクファクター(危険因子)となっており、禁煙と並んで肥満防止(メタボリックシンドローム防止)が先進国の保健福祉行政(健康増進政策)の重要な課題になっている。肥満がリスクファクターとなる代表的な疾患には以下のようなものがある。

1.各種の癌(がん)

2.脂質異常症・高脂血症(高コレステロール血症・高中性脂肪血症)

3.高血圧(心臓・脳の血管障害のリスク)

4.動脈硬化・冠動脈疾患(心筋梗塞など虚血性心疾患・脳卒中・閉塞性動脈硬化症)

5.U型糖尿病(耐糖能障害・インスリン抵抗性による血糖値上昇)

6.高尿酸血症・痛風

7.肥満による睡眠時無呼吸症候群(Pickwick症候群)

8.変形性関節症・腰椎症など整形外科的問題

9.

10.女性の月経異常・排卵抑制(思春期の肥満によって性ホルモン分泌抑制・第二次性徴期の遅れ・性成熟の障害が起こることがある。)

11.内臓臓器能力の低下による体臭の強まり

12.脂肪肝・肝硬変

肥満は疾患のリスクファクターになったり身体の健康を障害するだけではなく、『自己評価の低下・劣等感の強化・痩せ願望の異常な強まり・ボディイメージの歪み』など心理的な影響を与えることもある。現代社会の平均的な美の基準は『痩身(痩せた体型)』であり、痩せている体型のほうが美しくて洗練されている、カッコよくてスマートであるというイメージは、マスメディアやファッションのモード(流行)、芸能人・モデルによって強化されている。

特に女性の場合には太っていて肥満体型であることで、『流行のお洒落な服が着れない(自分に合うサイズ)がない・女性としての美しさが評価されにくい・痩せているスレンダーな女性に対して引け目を感じる』といった劣等コンプレックスにつながりやすくなり、その結果として『痩せなければ自分の価値・魅力を認めて貰えない』という強迫観念的なダイエット欲求や痩せ願望に取り付かれやすくなる問題が指摘されている。BMIの数値で見ても、他人の目線から客観的に見ても全く太っていないのに、『自分は太りすぎている・もっと痩せなくてはいけない・新たなダイエット法や食事内容を試してみなければならない』といった強い痩せ願望を持っている女性は非常に多い。

“強迫的な痩せ願望・肥満恐怖”を抱いている女性の中には、ボディイメージ(自己身体イメージ)が歪んでしまって、一般に拒食症と呼ばれる『神経性食欲不振症(アノレクシア・ネルヴォーザ)』を発症してしまうこともある。

先進国では、適度な痩身(スレンダー体型)か胸・腰・尻に適度なメリハリが効いた体型(グラマー体型)を“美の基準”にしているため、極端に太りすぎていたり痩せすぎている事が『自己評価の低下・自尊心の傷つき・劣等感の強まり』といった心理的な苦悩やコンプレックスになりやすい。肥満恐怖・痩せ願望の強い人の中には、子ども時代に太った体型をからかわれたりバカにされたりした過去の経験がトラウマのようになっている人もいて、『自分に対する自信・自尊心』を強めるために狂気的なダイエットに取り組んで、摂食障害(拒食症)になったり体調を崩してしまうこともある。

肥満の人が多い欧米社会においても、『太りすぎている肥満体型は、自己管理ができていない証拠』というような偏見や価値観が広まっており、大企業のエグゼクティブや富裕なセレブ、政治家などは『自分に対する社会的評価・名声・印象』を高めるために、ジムに通ったり食事療法をしたりしてダイエットに取り組んでいる。

『痩せている身体は美しく自己管理ができている(ストイックで自制心がある)』『太っている身体は醜く自己管理ができていない(だらしなくて自制心がない)』という先進国の固定観念や社会的価値観が強まることによって、肥満の人は引っ込み思案で消極的な性格になったり、自分に自信が持てずに劣等コンプレックスを形成したりすることが多くなっている。

だが、肥満は必ずしも『後天的要因(運動不足・過食・努力不足・自己管理不足)』のみによってなるものではなく『先天的要因(遺伝・体質)』も大きく関係しているので、自分で自分を責めたり自己否定したりするのは好ましい事ではなく、メンタルヘルスを悪化させるリスクもあるので、『自分にできる範囲』で規則的な運動と食事療法のダイエットメニューを組み立てていく事が大切である。

肥満の治療法としてはオーソドックスな食餌療法と運動療法だけではなく、『外科的な手術の治療法(胃縮小手術・バイパス手術・袖状胃切除手術・バルーン手術など)』『内科的な薬物療法(食欲抑制薬のマジンドール・脂肪吸収阻害剤のゼニカル)』もあるので、重度の肥満や遺伝的要因が関与した肥満ではそれらの治療法も検討すべきである。

posted by ESDV Words Labo at 17:25 | TrackBack(0) | ひ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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