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2011年10月06日

[ヒューマン・エソロジー(human ethology)]

ヒューマン・エソロジー(human ethology)

エソロジー(ethology)とは、自然科学の一分野である『動物行動学・比較行動学』のことである。動物行動学(比較行動学)の研究目的は、『各種動物の生態の解明』であり、フィールドワーク(観察法の実地調査)を通して動物や人間の日常的な行動パターンを明らかにしていく。エソロジー(動物行動学)では、自然界における動物の生態を解明するだけでなく、動物の行動様式や行動選択の持つ『生物学的(戦略的)な意味・動機づけ』を推測したりもする。動物の行動・生態を研究するエソロジー(ethology)については過去の記事でも説明している。

比較行動学と呼ぶ時には複数の種の動物(人間)の行動パターンを比較して、『その種や個体に特有の行動パターン』を探し当てることが目的となるが、目に見える『客観的な行動(behavior)』を研究対象にするという点では行動主義心理学(行動科学)と類似した側面も持っている。動物行動学・比較行動学の中でも特に、人間の行動様式・行動特性を研究対象にしたものを『ヒューマン・エソロジー(human ethology)』と言うことがあるが、人間の年齢ごとの行動パターンなどを観察調査するヒューマン・エソロジーは、発達心理学や行動主義心理学とも深く相関している。

ヒューマン・エソロジーは平易な言い方をすれば『人間観察学・人間行動学』と呼ぶことが出来るが、『行動主義心理学・発達心理学との違い』としては実験的な環境調整を行わずに、自然状態において日常の人間の行動を観察するということがある。人間の赤ちゃんはなぜ可愛らしく感じるのか、人間の大人はどうして子どもを保護する行動の傾向があるのか、思春期ではなぜ先生や親といった社会的権威に反抗しやすくなるのかといった、進化生物学的な問いや社会学的な疑問というものもヒューマン・エソロジーの対象になっている。

ヒューマン・エソロジーでは、“国家・民族・文化・宗教”によるそれぞれの人間の行動パターンの違いも観察調査しており、その調査結果が異文化間カウンセリング異文化間心理学に応用されて役立てられることもある。日本人の生活行動や人間関係の観察だけではなく、アメリカ人やイギリス人、ドイツ人、中国人、インド人、ベトナム人、アフリカ諸国の人々などの生活行動パターンを幅広く観察して調査することで、それぞれの地域に特有の『行動様式・人間関係のパターン・文化的特性』をより深く理解することが出来るようになる。

各国家・各民族・各文化の『共通点』『差異点』を浮かび上がらせて知ることによって、それぞれの文化や民族に適応したコミュニケーション形態やカウンセリングの技法を選択しやすくなり、『ヒューマン・エソロジーの成果』を『異文化間カウンセリングの効果』に結び付けていくことができるのである。異文化に生きている人間の行動様式や文化活動、対人関係パターンを理解していく事で、人間一般に普遍的に共通する心理法則や行動原理を発見しやすくなるが、ヒューマン・エソロジーは広義の人間心理を包括的かつ直感的に把握するために役立つ学問分野になっている。



posted by ESDV Words Labo at 09:37 | TrackBack(0) | ひ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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