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2006年08月30日

[心身症のリスクファクター(危険因子)となるアレキシシミア(alexithymia)]

心身症のリスクファクター(危険因子)となるアレキシシミア(alexithymia)

アレキシシミア(alexithymia)とは、1972年にピーター・E・シフネオス(P.E.Sifneos)が心身症患者の臨床経験をもとに提唱した概念で、日本では『失感情症』『失感情言語症』などと訳される。

アレキシシミア(アレキサイミア)の概念は、催眠療法など精神医学(精神療法分野)の研究で著名な九州大学医学部の池見酉次郎によって日本へ導入された。心理社会的なストレスを原因として発症する心身症(psychosomatic disorder)の患者に見られやすい心理的な特徴をアレキシシミア(alexithymia)といい、具体的には、自分の内面の感情を認知できなかったり、自分の感情を言語化することが苦手という特徴を示す。

アレキシシミア(失感情言語症)とは『自分の感情や気持ちに対する認知の障害』であり、統合失調症に見られるような感情の平板化や感情鈍磨とは異なり、完全に自分の喜怒哀楽の情動が麻痺して消失してしまうわけではない。自分が今感じている喜びや悲しみ、怒り、興奮を完全に意識化できないわけではないが、そういった感情に対して鈍感でありなかなかありのままの感情に気づくことが出来ないという特徴を持つ。

また、自分が現在抱えている内面的な感情や精神的な葛藤について言語化することが苦手であり、感情を表現する為の語彙が貧困である場合がある。感情を介在させなくて良い客観的な出来事に対して淡々と詳しく説明するのは得意だが、感情的な問題について分かりやすく言葉にして伝えることが苦手というような傾向が見られる。

アレキシシミアの性格特性や心理状態を示している人は、無意識的に自分の感情や欲求を抑圧して職場環境や家庭環境に『過剰適応』しているケースが多い。与えられた生活環境や対人関係に過剰適応して強いストレスを受け続けた結果として、胃・十二指腸潰瘍や過敏性腸症候群などの心身症を発病することになるのである。

本当は相手を怒鳴りつけたいくらいに怒っているのに自分では怒りの感情に気づかずにニコニコと愛想笑いとしていたり、思いっきり泣き喚いて相手に甘えたいのにそういった弱い感情を人に見せてはいけないと思い込んでいたりするアレキシシミアの人は、ストレス・トレランス(ストレス耐性)が低下しやすく知らない間に心身症を発症するような過度のストレスに晒されていることがある。

日本心身医学会(1991)の心身症の定義は、『心身症とは身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症やうつ病など、他の精神障害に伴う身体症状は除外する』とされている。心身症には、『胃・十二指腸潰瘍、本態性高血圧、気管支喘息、頭痛、過敏性腸症候群、過呼吸症候群、心疾患』など様々な種類があるが、神経症と違って精神症状ではなく特定の器官を損傷する身体症状が現れるのが特徴である。

アレキシシミアとは、心理社会的因子によって生じるストレスを発散する為の『適切な手段・方法』を持つことが難しい病的な性格特性であり行動パターンである。自分の感情状態を適切に知覚することが出来ない為に、怒りや憎悪といったマイナスの感情を内面に鬱積させやすく、自分の気持ちを他人に言葉で思い通りに伝えられない為に、喜びや感動といったプラスの感情で生じるカタルシス効果を得にくいのである。

アレキシシミアに対する治療法としては、ゲシュタルト療法によって感情的コミュニケーションを活性化させたり、来談者中心療法によってありのままの自分の感情を言語化させる練習を繰り返したりする。あるいは、ボディ・ワークや行動療法を取り入れて身体感覚の変化を感情状態の変化と結びつけるようなカウンセリングを行い、『自分が他者に伝えたい感情や気持ちに自覚的な構え』を習得させることが効果的である。アレキシシミアの人は、行き過ぎた仕事中毒や社会的名声への執着に陥りやすい傾向があるが、それは『自分の内面的問題に対する関心が薄く、仕事の成績・給与や社会的地位といった外向的な目的への関心が強い』からである。

アレキシシミアの人は、『内面的な感情の認知障害』『感情の言語化の困難』『感情表現のための語彙の少なさ』『想像力の貧困と空想の楽しみの欠如』『共感的コミュニケーションへの無関心』などの特徴を示す。

ラベル:精神疾患
posted by ESDV Words Labo at 05:12 | TrackBack(0) | あ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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