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2011年11月02日

[ヒーリング(healing)と代替療法・スピリチュアル:非医学的な癒しの方法]

ヒーリング(healing)と代替療法・スピリチュアル:非医学的な癒しの方法

ヒーリング(healing)とは『治療・治癒』のことであるが、日常的な文脈でヒーリングという時には『癒すこと・癒されること』といったより感覚的な治癒感に重点が置かれている。ヒーリングは英語の意味としては身体医学・精神医療といった医学的な治癒を意味することもあるが、日本では『心身相関の癒し』『代替医療・スピリチュアル(霊的療法)・ボディワーク(ヨーガなど)・ファンタジーの治癒の魔法・宗教療法』などを指してヒーリングと呼んでいることが多い。

カウンセリングや心理療法の目標の一つもヒーリング(癒されること)であるが、ヒーリングの感覚的体験を得る為には、3つのカウンセリングの作用機序を利用することが必要になる。3つのカウンセリングの作用機序というのは、『カタルシス効果(感情浄化)・バディ効果(仲間による共感)・アウェアネス効果(気づきと自己洞察)』である。

それ以外にも、S.フロイトの精神分析療法では『無意識的内容の意識化(言語化)』によってヒーリングを得られると考えられている。カール・ロジャーズのクライエント中心療法(来談者中心療法)では『実現傾向の促進(自己実現)』によってヒーリングの感覚が得られるし、パールズ夫妻のゲシュタルト療法では『今・ここにおける気づきと再決断』がヒーリングの気分・自覚へとつながっていく。ゲシュタルト療法のヒーリングは、『オーセンティック・セルフ(本当の自己)』の潜在能力の開発や自覚とも深い相関を持っており、“偽りの自己”から“本当の自己”への転換を起こすことでヒーリングの効果を得られるのである。

ヒーリングの起源は、キリスト教の開祖であるイエス・キリストが起こしたとされる病気や苦痛を癒す“奇跡”だったり、未開文明の部族社会のシャーマン(呪術医)が行っていた“呪術・宗教療法・手かざし”だったりするようだが、現代のヒーリングは宗教性やスピリチュアル性を帯びているものの、ヒーリングの具体的な中身は非常に多様で種類が多くなっている。心理的な安心感や心地よさ、意欲の回復などをもたらしてくれる技術や関係、方法、思想、信仰、霊感などを総称してヒーリングと呼んでいるのであり、基本的には『非医学的な癒しを伴う技術や体験・感覚』の全てを指すような状態になっている。

ヒーリングの体験や方法が話題にされやすい背景には、ストレス社会における不満や不安、疲労、自己否定の増大があり、そこにうつ病やストレス性疾患、トラウマ(PTSD)、パニック障害、社会不安障害などが重なることで、『個人の心理的な痛み・恐れ・不安の除去』を目的とするヒーリングに注目が集まるようになっている。ヒーリングを通して緊張感や不安感、慢性的な不全感を取り除きたいというニーズがあると想定されるが、具体的にヒーリングを行うヒーラー(治療者)や場所に求められているのは、『自分の居場所・依拠できる思想や観念・本当の自分の受容(共感)』などの自己肯定感覚だとも言われる。

ヒーリングというカテゴリーに該当する方法や体験には、アロマセラピーやリフレクソロジー(足つぼマッサージ)、アーユルヴェーダなどの代替療法のリラクセーションがあるが、より宗教的な体験や理論、身体性を重視したものとしては、ヨーガや気功、瞑想などもある。人為的な技法や理論を用いない『森林浴・ガーデニング・ウォーキング・パワースポット探訪』などの自然体験もヒーリングであり、気持ちが安らいで落ち着いてくる『ヒーリングミュージック』といったジャンルの音楽を通したヒーリングもある。

ヒーリングと定義されるものの中には、疑似科学として不適切な治療法になる危険性も持つ『ホメオパシー・バッチフラワー・レイキ』などの代替療法もあり、これらは重症の病気や身体の異常に際して優先的に使うべきではない(西洋医学の標準療法を優先すべき)という批判も強くある。基本的には身体疾患や精神疾患の明らかな症状があり苦痛も強い時には、まずは病院・クリニックで標準的な医療を受けてみるべきであり、ヒーリングや代替療法は飽くまで『補助的療法・精神的なリラクセーション(精神的恩恵の重視)』として認識すべきだろう。

posted by ESDV Words Labo at 05:12 | TrackBack(0) | ひ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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