慢性疲労症候群(CFS)の症状・診断基準・治療と疲労(fatigue):1
慢性疲労症候群(CFS:Chronic Fatigue Syndrome)は、通勤・通学や家事・育児などの日常生活に支障を来たすほどの原因不明の強度の疲労感が、“6ヶ月以上の長期間”にわたって続く疾患である。
喉の痛みや頭痛、気分の悪さ、だるさなど風邪の初期症状に似た症状が出てから、慢性的な疲労感を訴えるようになるケースが多く、かつては『風邪・自律神経失調症・うつ病・更年期障害・心身症・不安性障害』などとして誤診されてしまうことも多かった。しかし、現在では心因性の病気ではないとされており、精神的ストレスも関係はしているものの、何らかのウイルス感染の後遺症(微熱がでやすい症状含め)とする仮説も有力視されている。
慢性疲労症候群(CFS)の歴史は、1980年代初頭にアメリカで『疲労感・微熱・リンパ節腫大』などの伝染性単核球症様の症状が遷延化する症例群が報告されたことに始まるが、1988年に米国のアメリカ疾病予防センター(the Centers for DiseaseControl and Prevension:CDC)がCFS(Chronic Fatigue Syndrome)という病名を提唱した。
CFSの主要な症状は、以下のようなものであり、その症状が6ヶ月以上の長期にわたって続き、重症患者では外出不能や寝たきりになるほどの疲労感を呈するため、身体的活動レベルだけに注目した場合には、多発性硬化症(MS)、後天性免疫不全症候群、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、末期の腎不全、慢性閉塞性肺疾患などの病気に相当するほどQOL(生活の質)が低下するとされる。一般に社会生活や職業活動に大きな支障をもたらす疾患である。
1.原因不明の強い全身の疲労感・倦怠感。
2.微熱・リンパ節腫脹
3.脱力感・無力感・身体を制御できない感覚・気分の悪さ
4.様々な場所での痛み。 筋肉痛や関節痛、頭痛、リンパ節の痛み、喉の腫れ、腹痛、顎関節症、顔面筋疼痛症候群など。
5.知的活動の抑制・障害。考えがまとまらない混乱、思考力と集中力の低下、記憶力の低下(健忘症状)など。
6.体温調節障害。寒く感じたり暑く感じたり、微熱が出ている感覚が続いたりする。
7.感覚過敏性。まぶしさを感じる羞明(視覚過敏)、音への過敏(聴覚過敏)、化学物質や食べ物の匂いへの過敏(嗅覚過敏)、既往歴のあるアレルギー症状の悪化。
8.睡眠障害や多夢傾向。『不眠・過眠』のどちらの症状も出る可能性がある。
9.精神障害・精神症状。気分・感情が不安定になる、不安感や抑うつ感、興奮や錯乱、むずむず脚症候群のような症状。
10.中枢神経障害。アルコールの耐性低下、筋肉痙攣や筋力低下、手足の振戦、めまいや耳鳴り(メニエール病)。
11.その他の全身症状。動悸、頻尿、口内炎、過敏性腸症候群、PMS(月経前症候群)など。
ヘルペスウイルスのような潜伏性のウイルスが関係しているとする立場からは、CFSはmyalgic encephalomyelitis(ME,筋痛性脳脊髄炎)、 post-viral fatigue syndrome(PVFS,ウイルス感染後疲労症候群)と呼ばれることもあるが、その主な症状は『精神的な疲労感と気力低下,身体的な疲労感と体の重さ,知的能力を発揮できない思考力と集中力の低下』である。
症状だけを見るとうつ病(気分障害)で出てくる心身の症状と大きな違いがないので、精神疾患の気分障害であるという誤診をされることも多いが、慢性疲労症候群(CFS)の場合は抑うつ感や絶望感、希死念慮のような精神症状よりも身体的・精神的な圧倒的な疲労感(だるさ・体の重さ・微熱感)のほうに症状の重点がある。

