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2006年09月17日

[交流分析(transactional analysis)のエゴグラム(egogram)]

交流分析(transactional analysis)のエゴグラム(egogram)

アメリカの精神科医エリック・バーン(1910-1970)が開発した簡易型精神分析が、交流分析(TA:Transactional Analysis)である。デュセイ(J.M.Dusay)が考案した自己分析的な性格テストを『エゴグラム(egogram)』というが、エゴグラムはエリック・バーンの交流分析を応用して作成された簡易な性格テストのことである。

エゴグラム(egogram)では、エリック・バーンが定義した5つの自我状態のバランスと日常生活での働き方によって『個人の性格分析』を行っていくが、その結果は棒グラフや折れ線グラフによって分かりやすく図示されることが多い。自我状態とは『個人を特徴づける一貫性のある行動・認知・感情パターン』のことであり、5つの自我状態には『CP(批判的な親)・NP(擁護的な親)・A(大人)・FC(自由な子ども)・AC(適応的な子ども)』の5つの行動パターンが想定されていて、質問紙法のテストを通してどの自我状態が強く働いていてどの自我状態が余り機能的に働いていないのかを見ていくのである。

エゴグラムで、CP(批判的な親, Critical Parent)が強く、NP(擁護的な親, Nurturing Parent)が弱ければ、厳格で規則正しい行動や価値観を示すが、他人への思いやりや優しさが不足しているという印象を与えやすくなる。CP(批判的な親)は、厳格な規範意識や支配的なリーダーシップ、権威主義的な存在感を感じさせる行動パターンで、これが強すぎると支配的で抑圧的なイメージを与えるが、これが弱すぎると自信の欠如や優柔不断を感じさせることになってしまう。

NP(擁護的な親)は、それと正反対の特徴を持つ自我状態であり、寛容な精神や情緒的な人間関係を重視する行動パターンであり、厳しさや規則正しさには欠けるが、他人への優しさや思いやりが強いので共感的な人間関係を築きやすいという特徴がある。CPは厳格な父性的な自我状態と言われることがあり、NPは温厚な母性的な自我状態と言われることがあるが、性別役割行動や性にまつわる社会規範が和らいでいる現代日本社会では、父性性と母性性を殊更に意識してエゴグラムを分析する必要はないかもしれない。

A(大人, Adult)とは、客観的な現実検討能力や功利的な現実適応能力と関係する自我状態で、Aがある程度強くないと現実社会の環境や複雑な人間関係に適応することが難しくなる。冷静かつ的確に、自分の利益や立場を考えた判断を下すために必要な精神機能が、A(大人)の自我状態なのである。また、Aは人格特性や精神機能全体のバランスを維持する働きもしていて、CP(批判的な親)とNP(擁護的な親)の対立やFC(自由な子ども)とAC(適応的な子ども)の葛藤を調停する役割も果たしている。

FC(自由な子ども)が強すぎると、社会規範に違背して反社会的な行動(非行や犯罪)に走ってしまったり、他者の権利や感情に配慮せずにわがままな振る舞いをしてしまうことがあるが、反対に、FCが弱すぎると、自由な精神に基づく創造能力が低下したり、精神的なストレスや不満を溜め込みやすくなってしまう。適度なFCの強さは、心の自由やリラックスと関係していて、自由奔放な振る舞いをすることでメンタルヘルスを維持している側面があるのである。

AC(適応的な子ども)というのは、権威主義や社会のルールに従順な自我状態を表していて、ACが強ければ社会規範を良く守る模範的な人物として評価されやすくなる。ACが強い人は自己主張を殆どしないので、周囲の人にとっては、扱いやすい大人しい人物や都合の良いお人好しの相手になりやすく、『AC(適応的な子どもの自我状態)』が強くて、『A(大人の自我状態)』が弱い人は周囲の人に一方的に利用されないように注意が必要である。

しかし、余りにACが強すぎると、権威や命令に盲目的に従属してしまうことになり、自分の社会経済的利益を逃してしまう恐れがある。権威従属的なAC(適応的な子ども)が強いと、自分の頭で考えて物事を判断することが苦手になるので、主体的な行動や創造的な仕事が出来なくなってしまうことも少なくない。また、精神保健福祉の観点からも、ACが強すぎると自分の感情や欲求を過度に抑圧してしまうので、各種の不安障害や転換性障害など神経症の発症リスクを高めることになってしまう。

エゴグラムでは、被検者の性格分析が行えるだけでなく、相手や場面によってどの自我状態が優勢になりどの自我状態が劣勢になるのかを明確にしてコミュニケーション分析とその有効な改善を行うことが出来る。エゴグラムは、交流分析の多面的な自己分析である『構造分析(structural analysis)』を行う為の一つの技法であるが、エゴグラム以外にも『交流パターン分析』『ゲーム分析』『脚本分析』などの分析技法がある。



ラベル:心理テスト
posted by ESDV Words Labo at 14:49 | TrackBack(0) | え:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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