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2011年12月14日

[ファザリング(fathering)・マザリング(mothering)とイクメンの子育て:2]

ファザリング(fathering)・マザリング(mothering)とイクメンの子育て:2

この項目は、[前回の記事]の続きになります。母性だけに焦点を当てた発達理論が多い中で、子どもの精神発達に対する『父性の役割(父親の心理的影響)』にも言及しているのが、ジークムント・フロイトの精神分析における『エディプス・コンプレックス』の理論である。エディプス・コンプレックスは一般的には『母親(異性の親)に対する独占欲求・性的関心』『父親(同性の親)に対するライバル心・憎悪』の葛藤として説明されることが多いが、発達心理学的には父性の権威的な指示・規制による『超自我の発達・社会性の獲得』といった家族・母親からの自立心の芽生えが重要になってくる。

エディプス・コンプレックスは女児の場合にはエレクトラ・コンプレックスとも言われるが、いずれにしても異性の親への独占欲・依存性が同性の親から挫折させられる葛藤経験であり、『過度の母子密着・家庭依存の弊害』を抑制するという働きをする。母性原理は家庭の内部に子どもをそのまま留めて、包み込むように保護したり愛情を注いだりする役割をするが、母性原理ばかりが強すぎると『子どもの自立心・社会化』が阻害されやすくなる。父性原理は家庭の外部へと子どもを送り出し、切断するように社会規範を示したり母からの自立を促進したりする役割をするが、父性原理ばかりが強すぎると『子どもの安心感・基本的信頼感(自尊心)』が阻害されやすくなる。

子どもの心身の健全な発達と超自我(社会性・道徳性)の獲得のためには、母性原理と父性原理のバランスの取れた育児が大切であり、『包み込んで愛するマザリング』だけでも『切断して自立させるファザリング』だけでもどちらかに偏りすぎると、子どもの精神発達や性格形成、社会適応に何らかの問題が生じるケースがでてくる。しかし現代では、『亭主元気で留守がいい・家庭に居場所のない父親・男性の帰宅拒否症候群・妻の夫在宅ストレス症候群・熟年離婚』のように、どちらかというと子どもを自立させて社会化させるよりも、母子密着を前提にして父親の居場所のほうが無くなるという問題が起こっていて、『父性の欠如』は深刻化しているとも言われる。

離婚・シングルマザーの増加といった事態も、『ファザリング(父性的養育)の不足・父性の欠如・男性の不在』などにつながっている部分がある。切断して自立させる父性やファザリングの役割の欠如によって、青年期〜成人期以降にも母親から精神的に自立できずに入学式・入社式についてきて貰ったり、就職転職・結婚離婚など重要な人生の問題の判断を母親に任せてしまうといった『年齢不相応の甘え・依存』の問題が残ってしまうこともある。

児童期〜思春期に起こりやすい『不登校・ひきこもり・家庭内暴力』などの問題でも、父親の存在感や信頼される権威性、説得力があるか無いかでは解決のしやすさが大きく変わってくるし、成人期以降の『ニート・ひきこもり』などの非社会的問題でも、父親が積極的に子どもを応援・支援したり生き方の模範を示すことによって社会復帰が進展しやすくなることがある。

『父親の不在・父性の欠如』というのは、母親でもある妻にとっては『夫の家庭放棄・育児無視』のように感じられることが多く、『母親の孤立化・心細さ』の要因になりやすく中長期的には夫婦関係が冷え込んで修復が難しくなる恐れもある。父親的な育児行動・役割である“ファザリング(fathering)”はイクメンのブームとも合わせて今後ますます重要になっていく可能性が高いが、効果的なファザリングがもたらす良い影響には、『妻の精神的な支援・夫婦関係の良好化』『子どもの心身発達の支援・社会化や自律性の促進』とを考えることができるだろう。

posted by ESDV Words Labo at 07:40 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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