ファシリテーター(facilitator)とファシリテーション(facilitation):1
ファシリテーター(facilitator)とは、複数の人が集まってミーティング(会議)やワークショップを行う場合に、その集団の目的やテーマに沿った建設的なコミュニケーションを促進して、参加者ひとりひとりのポテンシャル(潜在能力)を引き出そうとする役割を請け負った触媒的・援助的な人物のことである。
ファシリテーターは従来の会議のコンセプトで考えれば、司会・議長・リーダーと呼ばれる『会議の進行役・まとめ役』と同じようなものとも言えるが、ファシリテーターは『メンバーの上位に立つ権威的存在』ではなく『メンバーそれぞれを支援して能力・意見を引き出す存在』という部分が大きく違っている。
ファシリテート(facilitate)という英語の他動詞は、『〜を事前に準備する。促進する。助長する』という意味で、大まかに言えば『他者を間接的に支援して手助けする』ということであり、このファシリテーション(facilitation)の包括的概念はカウンセリングやコンサルティングの方法論・目的とも重なっている。
多くの企業や団体が『無駄・非効率なミーティング(会議)』を減らし、『有益・効率的なミーティング(会議)』を増やしていくという目的を持って、ファシリテーターの育成研修に力を入れていたりもするが、ファシリテーションの本質はカウンセリングの集団療法(エンカウンターグループ)に見られるような『他者の可能性の開発・他者の意見やアイデアの促進』にこそある。
ファシリテーターは、集団内のコミュニケーションや集まりで共有されている問題(テーマ)の解決を促進するので、集団療法(グループセラピー)の文脈では特に『(集団療法の)促進者』と呼ばれることも多い。ファシリテーターは誰かに肩入れするのではなく、常に『中立的・客観的な立場』で会議のプロセスに参加することが求められるが、ファシリテーターの主要な目的は『ミーティング・集団療法などの目的を達成できるように場を調整すること』と『メンバーが傍観者にならないように参加意識を高めるような工夫をすること』である。
企業のミーティング(会議)において、そのメンバーが『自分には関係のない退屈な会議だ』と思ってただぼんやりと話を聞いているだけでは、『形式的・儀礼的な生産性のない無駄な会議』になってしまいやすいのであり、ファシリテーターはそういった『傍観者・他人事の意識』ができるだけ生じにくくなるように、メンバー各人の率直な意見を求めたりアイデアを出してもらったりしようとする。
ファシリテーションが効果的に機能する場合には、『集団の建設的な合意形成・メンバー間の相互理解(相互信頼)・問題やテーマの解決』が促進されることになるが、ファシリテーターは参加しているメンバーの意見・経験・知識・アイデアを聞きだしてインプットしながら、問題の解決や集団の合意への道筋を調整していくのである。

