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2012年01月20日

[家族療法のファミリー・グループ(family group)とプレイセラピー(遊戯療法):2]

家族療法のファミリー・グループ(family group)とプレイセラピー(遊戯療法):2

この記事の内容は、[前回の記事]の続きになります。ファミリーグループが持っている『エンカウンターの要素』『プレイセラピー(遊戯療法)の要素』が相互に作用してシナジー効果を得ることができれば、家族成員の心理的な悩みが解決しやすい心理状態が生まれやすくなる。それは、家族それぞれが抱えている苦悩や不満を率直に表現することにもつながり、お互いの苦しい心境をそのまま受け容れ合うことができれば、心理療法のプロセスが進みやすくなるということを意味している。

複数の家族が参加しているファミリーグループの家族療法であれば、『自分たちの家族以外の家族』から第三者的な目線で客観的な意見やアドバイスを貰えたりする副次的効果もある。他の家族と自分たちの家族とが相互に支え合って傾聴することで、『家族の問題』を共有しているという感覚が生まれるが、この問題共有の感覚・感情が『社会性の向上・受容性の高まり』といったカウンセリング効果を生み出し、自分たち家族だけが孤立して悩んでいるわけではないという安心感にもつながるのである。

エンカウンターグループとプレイセラピーのシナジー効果は、必然的に『共感性・受容性の実践感覚』『創造力・想像力のポジティブなビジョン』を作り出すのだが、ファミリーグループの集団療法ではこれらの効果を活用しながら、『心身の回復・家族間の信頼関係・機能的(現実的)な認知の獲得』を目指していくことになる。実際のファミリーグループによる集団療法(家族療法)がどのような形で行われるのかという事については、1980年代後半から1990年代に掛けての畠瀬稔・直子夫妻の自分たちの家族を参加させた実践的なファミリーグループ研究が参考になる。

ファミリーグループの集団療法(家族療法)に参加するメンバーは、『複数の家族集団+心理専門家(家族療法家)やスタッフ(ボランティア)』になるが、実際に実施する場合には『自由の多い集団生活を体験する合宿形式』になることが多い。宿泊が難しい場合には、一般的な集団療法や自助会と同じように、一定の時間を取って複数の家族で本音と本音のコミュニケーションを取ることができるように支援していく。

ファミリーグループに持ち込まれる問題は、原則として『家族成員についての悩みや不適応問題・家族関係のトラブル・家族成員の精神障害や発達障害についての悩み』などである。具体的には、不登校やひきこもり、就業困難、慢性化したうつ病・境界性パーソナリティ障害、家族の不仲や喧嘩、自閉症・アスペルガー障害(広汎性発達障害)などの問題が話し合われたりする。

ファミリーグループの家族療法は『集団生活の形式』を取っているとはいえ、『規則正しい生活習慣の確立・規律ある生活態度の獲得・生活面の役割分担』そのものを目的とした合宿・訓練とは異なるので、一日の生活行動のスケジュールは食事や入浴、睡眠時間以外は厳密に決められていない。一日を何をして過ごすのかは、家族同士で話し合ってスケジュールを決めることになるが、ファミリーグループではプレイセラピー(遊戯療法)の要素が重視されていることから、『キャンプ・飯盒炊爨(飯ごう炊さん)・登山・遠足・トランプ・ボードゲーム・スポーツ』など、遊びながらみんなで協力し合いながら楽しく取り組める活動が多くなっている。

昼間のスケジュールとなる活動は、上記したような『身体運動を伴う集団活動・遊びやゲームの要素を持っている活動』が多いが、家族の希望や技法の必要性に応じて、絵を描いたり彫刻を彫ったり粘土細工・切り絵を作ったりといった『表現療法・芸術療法(アートセラピー)』が実施されることもある。表現療法(expressive therapy)では特に、『自分に適した自己表現活動』を探し出して、言語化することが難しい『自分の内的世界・感情問題』を作品や行動に自然に投影していくことが、心身状態の改善につながっていく。

夜間の時間帯には、親は『親同士の家庭問題についての話し合いの時間』を準備し、子どもは『子ども同士のレクリエーションや雑談の時間』を過ごすことが多いが、ファミリーグループの効果は『他者との共通体験・心身がオープンになる解放感・相互的な共感体験・社会性の強化』などにある。



posted by ESDV Words Labo at 04:49 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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