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2012年01月20日

[幻想(fantasy)と精神分析の無意識:M.クラインとC.G.ユング]

幻想(fantasy)と精神分析の無意識:M.クラインとC.G.ユング

ファンタジー(fantasy)とは『幻想・夢想・想像の産物』のことであるが、ファンタジーがどこから現れてくるのかファンタジーの起源は何なのかについては、『経験主義の仮説』『無意識の仮説(精神分析的な仮説)』とがある。経験主義の仮説では『過去に経験した事柄や人間関係』がファンタジーの内容を形作る材料になっており、そのファンタジーの来歴や意味は『過去の想起(思い起こし)』によって説明が可能である。

精神分析的な無意識の仮説では、対象関係論(英国独立学派)の創始者である女性分析家のメラニー・クラインが仮定した『無意識的幻想』のように、本人の過去の経験とは無関係にファンタジーが生成すると考える。

M.クラインのいう無意識的幻想というファンタジーの概念は、『早期発達理論(乳幼児期の発達理論)』『原始的防衛機制(分裂)』と深いつながりがあり、分裂した『悪い対象』を攻撃して破壊しようとする衝動が無意識的幻想の現れとされている。

M.クラインのファンタジーは、生まれながらに全ての人間が持っているとされる『物語的な幻想・防衛機制としての幻想』であり、その幻想の内容は無意識領域のエスに起源があるとされる。エスの本能的欲望や原始的欲求が、M.クラインの『妄想‐分裂ポジション』の発達段階における無意識的幻想の原因(起源)であり、生まれたばかりの赤ちゃんの内的世界には、外部から推測される何らかの『生得的・本能的な物語としてのファンタジー』があるとされているのである。

精神分析の始祖はジークムント・フロイトであるが、その弟子で独自の分析心理学を考案したカール・グスタフ・ユングもまた、『普遍的無意識(集合無意識)の仮説』によってファンタジーを定義していた。

C.G.ユングは普遍的無意識(collective unconscious)の内容である『元型(アーキタイプ)』こそが、ファンタジー(幻想)の起源であると考えていた。つまり、太母(グレートマザー)や影(シャドウ)、アニマ・アニムス(理想の異性像)といった元型のイメージによってファンタジーの物語的内容が規定されるのであり、ファンタジーと個人的経験(主観的感情)には直接的なつながりがないというわけである。

カール・グスタフ・ユングのいう『普遍的無意識(集合無意識)』は、人類全体(民族集団)で共有される普遍性の高い無意識領域であり、『個人的経験・主観的苦悩・抑圧された情動(トラウマ)』とは無関係に、個人の内的世界にさまざまなファンタジー(イメージ)や感情、感覚を作り出すのである。集合無意識が生み出すファンタジーは、人間が他人と同じように物事を感じることができる『共感能力』の原因でもあり、内的なファンタジーを共有することによって自己と他者との『相互理解』が深まるという肯定的な側面も指摘される。



posted by ESDV Words Labo at 12:56 | TrackBack(0) | け:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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