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2012年01月31日

[フィードバック(feedback)1:出力(アウトプット)の結果が入力(インプット)に影響を与える仕組み]

フィードバック(feedback)1:出力(アウトプット)の結果が入力(インプット)に影響を与える仕組み

フィードバック(feedback)とは、あるシステムの“出力(結果)”を“入力(原因)”に戻して反映させる操作のことであり、“出力(アウトプット)”が目的を達成していればそこで終了し、目的を達成できていなければもう一度“入力(インプット)”を修正するというものである。“出力(アウトプット)”を再びシステムの入り口へと還元して“入力(インプット)”を再調整する仕組みがフィードバックであり、そのことから日本語では『帰還』という訳語が当てられることもある。

“フィードバック”という言葉が初めて用いられたのは、アメリカの数学者であるノーバート・ウィーナー(N.Wiener, 1894-1964)が提唱した『サイバネティクス(cybernetics)』の円環的なシステムにおいてであり、『結果の出力』を入力に再び戻したり入力に影響を与えるという意味合いがあった。狭義のフィードバックは、1927年のH.S.ブラックによる『負帰還増幅回路の発明』に関するもので、現在でも電子工学・エレクトロニクスの分野でフィードバック回路がさまざまな技術開発に応用されている。増幅器の特性の改善や発振・演算回路、自動制御回路といった電子回路にフィードバックの考え方が用いられている。

出力(アウトプット)の増加によって、入力(操作)も増えて促進される場合を『正のフィードバック(ポジティブ・フィードバック)』、それとは逆に、出力の増加によって、入力(操作)が阻害されて減少する場合を『負のフィードバック(ネガティブ・フィードバック)』といい、この分類は機械工学(電子工学)だけではなく経済学や臨床心理学にも応用されている。負のフィードバックが働く場合に、フィードバックに『時間遅れ』がでてしまうと、出力(アウトプット)が『増加させ過ぎ・減少させ過ぎ』になってしまうことがあり、これを『発振』と呼んでいる

日本語では、ポジティブ・フィードバックは『正帰還』、ネガティブ・フィードバックは『負帰還』と呼ばれることもあるが、ビジネスの分野におけるフィードバックでは単純に『結果情報の伝達による問題の原因の改善』という意味で用いられることも多い。ただ結果だけを示すのではなく、仕事内容(行動)の『反省・訂正』や良い結果を導くためにどのようなプロセスが必要かという『ビジネス改善・計画立案』なども含めて、フィードバックと呼ぶことがある。

生理学的な生命現象でも『フィードバック』という言葉が用いられるが、これは感覚・知覚・生体ホルモンが関係する『ネガティブ・フィードバック』である。生物はこのフィードバックによって『ホメオスタシス(生体恒常性)』が維持されているわけだが、更に人間の場合には、経験したことによって新たな知識・行動を獲得するという『認知的な学習行動』にもフィードバックが関係している。特に各種の化学物質によってタンパク質の作用が変化してしまう『アロステリック効果』では、代謝による酵素活性の阻害という『フィードバック阻害』のネガティブ・フィードバックが起こっている。

経済学の分野におけるポジティブ・フィードバックとは『収益逓増・ネットワーク外部性』のことであり、ネガティブ・フィードバックとは『収益逓減』のことである。ビジネス(事業活動)の結果として段階的に収益が増えたり経済活動の外部性が広がることを“ポジティブフィードバック”と考え、反対に段階的に収益が減ってしまったり閉じた活動で規模が収縮してしまうことを“ネガティブフィードバック”と考えているのだが、この経済学のフィードバックの理念は『結果が入力にどのような影響を与えているか?』が非常に分かりやすくなっているという特長がある。

posted by ESDV Words Labo at 22:20 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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