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2012年02月05日

[VPI職業興味検査(Vocational Preference Inventory)]

VPI職業興味検査(Vocational Preference Inventory)

VPI職業興味検査(Vocational Preference Inventory)とは、アメリカの心理学者のJ.L.ホランド(J.L.Holland)が開発した心理テストを、日本人の職業観や就職環境、労働意欲などに最適化して編集したものである。当時の労働省(現・厚生労働省)の外郭団体だった『雇用職業総合研究所』が、J.L.ホランドの心理テストとその背景になる職業理論・心理分析を改良して、『日本人の各種の職業に対する興味関心』を調べられる心理テストを作成したのである。

VPI職業興味検査は、職業上・就職上の進路選択を考えている大学生の『キャリアガイダンス目的(大学生の進路指導用途)の検査』として用いられる事が多く、実施時間が“約15分〜20分”と短く、自己採点の時間も約5分で終わるというのが特長になっている。一般的な学力テストのように『点数の高低』を競い合うようなものではないので、自己採点で簡単にどの仕事に興味があるのかを知ることができるという利便性もある。

VPI職業興味検査では、営業マンや教師、弁護士、税理士、事務員、薬剤師、研究者、エンジニア、建設業、ガードマン、工員など『160もの具体的な職業』についての興味関心をスピーディーにチェックできるが、この心理テストの結果を十分に『実際の就職活動・職業選択』に生かすためには、テストをした後に『カウンセラーの援助・助言』を受けることが望ましいとされる。

VPI職業興味検査は『適職の判定』をするような心理テストではなく、『自分の各種の職業に対する興味関心の度合い・多くの職業に関する情報』を知るためのテストである点に注意が必要である。そのため、このテストで興味があるとされた仕事・職業に必ずしもその被検者が向いているというわけではないが、VPI職業興味検査を受けることによって『職業への興味・進路選択に関連する自己理解』を深められるというメリットがある。

VPI職業興味検査の結果は『6つの興味関心の領域』『5つの傾向尺度』によって示されるが、それらはそれぞれ以下のようなものになっている。

6つの興味関心の領域

現実的職業領域(R尺度,Realistic Scale)……機械やモノを対象として黙々と作業をするような『具体的・実際的な仕事』の領域で、製造業・設計業・肉体労働全般が当てはまる。

研究的職業領域(I尺度,Investigative Scale)……研究・学問・リサーチなど『研究的・探索的な仕事』の領域で、研究職・学者・アナリスト・批評家・調査員などが当てはまる。

芸術的職業領域(A尺度,Artistic Scale)……音楽・芸術・文学など『芸術・創作に関する仕事』の領域で、アーティスト・歌手(演奏家)・作家・創作家などが当てはまる。

社会的職業領域(S尺度,Social Scale)……対人関係の中で援助や奉仕、教育をするような『対人援助・教育・福祉に関する仕事』の領域で、教員・社会福祉士(精神保健福祉士)・医師・看護師・介護士・カウンセラー(臨床心理士)などが当てはまる。

企業的職業領域(E尺度,Enterprising Scale)……企画・開発や組織の管理運営、企業の経営などの『企業活動の中枢に関わる仕事』の領域で、経営者・企業幹部・管理職・部署の責任者などが当てはまる。

慣習的職業領域(C尺度,Conventional Scale)……あらかじめ決められた方式や規則、慣習に従って行動する『定型的・反復的な仕事』の領域で、事務系公務員・税理会計・事務員・オペレーターなどが当てはまる。

5つの傾向尺度(プロフィール作成)

自己統制(Co尺度 Self-Control Scale)……自分の衝動や欲求をどの程度セルフコントロールできているか。

男性-女性(Mf尺度 Masculinity-Feminity Scale)……ジェンダー(社会的性差)の影響を受けた『男性的な仕事・女性的な仕事』にどの程度興味を持っているか。

地位志向(St尺度 Status Scale)……社会的な地位や名誉、権威などにどの程度強い関心や欲求を持っているか。

稀有反応(Inf尺度 Infrequency Scale)……その被検者の職業選択がどのくらい社会的価値観や常識・権威の影響を受けているか(あるいは社会的価値観に影響されないほどにユニークであるか)。

黙従反応(Ac尺度 Acquiescence Scale)……職業の選り好みが多いか少ないか。どれくらい多くの職業に対して幅広く興味関心を持っているか。

大学生の進路指導や職業選択に関連する心理テストには、『GATB(General Aptitude Test Battery, 一般職業適性検査)』というテストもあります。

posted by ESDV Words Labo at 16:56 | TrackBack(0) | ふ:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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