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2006年10月09日

[動物(人間)の行動(生態)を対象とするエソロジー(ethology:比較行動学)研究]

動物(人間)の行動(生態)を対象とするエソロジー(ethology:比較行動学)研究

さまざまな種類の動物の行動を比較観察しながら、動物の行動メカニズムや社会行動の形成機序を研究する生物学(心理学)の研究分野を『比較行動学(動物行動学)』という。エソロジー(ethology)とは、比較行動学(動物行動学)のことであり、人間の行動を対象として観察研究を行うこともある。

複数の人間の行動を観察しながら、ヒトの一般的な行動原理や行動方略を解明しようとする研究のことを、特に『ヒューマン・エソロジー(human ethology)』と呼ぶことがある。ヒューマン・エソロジーの研究分野では、日本人・アメリカ人・フィリピン人・エチオピア人など異なる言語文化圏で生活を営む人間の行動パターンを丁寧かつ綿密に観察して比較する研究なども行われている。異なる文化圏や宗教圏の行動を比較研究することで、異文化コミュニケーションの円滑化を進めて対立を緩和したり、異文化間の相互理解の深化に役立てることが期待されている。

エソロジーを心理学分野の隣接領域と考える場合には、『比較行動学』という呼び方をすることが多いが、エソロジーを生物学分野の隣接領域と考える場合には『動物行動学』という呼び方をすることが多い。基本的に、比較行動学と動物行動学の研究内容および研究方法は同一のものであり、学術分野としての本質的な差異はないと考えて良いだろう。

しかし、比較行動学はどちらかというと心理学的な本能・行動の理論の記述へとつなげる研究手法が多く、動物行動学のほうは、進化生物学と関係した客観的な一般法則の記述へとつなげるような研究方法を採用することが多いと言われることもある。

現代では、進化生物学や遺伝学の進歩発展を受けて、ヒトの進化過程や共通祖先の行動方略を調査する為に、チンパンジーやボノボ、ゴリラ、ニホンザルといった高等類人猿のエソロジーが盛んである。しかし、エソロジーの対象となる動物は、類人猿や哺乳類、鳥類、爬虫類といった比較的ヒトに近い脊椎動物だけではないことに注意が必要である。

エソロジーは、植物ではない行動可能な動物全般を対象とすることが出来る学問分野であり、極端に言えば、アンリ・ファーブル(Jean-Henri Casimir Fabre, 1823-1915)節足動物(昆虫)の行動を詳細に観察してまとめた『ファーブル昆虫記』もエソロジーの成果の一つである。

自然世界に生きる動物界に分類される生物全般の行動と生態を研究対象に出来るという意味で、エソロジー(ethology)は非常に長大な射程を持つ学問といえる。一般的にイメージされるオオカミやキツネ、馬などの脊椎動物(大型哺乳類)を観察対象として書かれた『シートン動物記』も、厳密な科学性は担保されていないがエソロジー研究に属するものである。

博物学者アーネスト・トンプソン・シートン(Ernest Thompson Seton, 1860-1946)は、自分自身で図鑑の動物の挿絵を描くなど、画家としても優れた才能を持っていて、環境保護活動や北米インディアンの研究などにも尽力した。動物の行動や名前、自然の世界について基本的な事柄を学ぶことが出来るということで、日本では子供向けの絵本として『シートン動物記』は非常に高い人気があり、『オオカミ王・ロボ』のエピソードなどの知名度は高い。

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エソロジー(動物行動学)の代表的研究者:ニコ・ティンバーゲンとコンラッド・ローレンツ



posted by ESDV Words Labo at 14:24 | TrackBack(0) | え:心理学キーワード | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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